Q.
最低賃金は、守らなければならないものですか。
A.
1.質問に対する回答
最低賃金とは、「最低賃金法」という法律に基づき定められた賃金の最低限度額であるため、守らなければならないものです。
2.法令等の規定
最低賃金法では「使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」とされており、仮に最低賃金未満の賃金で労使の合意があったとしても、法律により無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたことになります。また、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなければならないとされています。
他に罰則も定められており、地域別最低賃金に違反した場合には50万円以下の罰金(最低賃金法第40条)が、産業別最低賃金に違反した場合には30万円以下の罰金(労働基準法第120条)が、それぞれ適用されます。
3.最低賃金額を満たしているかの確認方法
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金であり、逆に対象とならない賃金は①臨時の賃金、②賞与等、③所定時間外労働・休日労働・深夜労働手当、④精皆勤手当、通勤手当及び家族手当です。簡単に言えば、基本給と④を除く諸手当(以下、「対象賃金」という。)が最低賃金の対象になります。
最低賃金は原則時間によって定められるため、対象賃金が時給の場合には、時給と最低賃金を比較します。対象賃金が日給、月給、出来高給等の場合には、時給に換算して最低賃金と比較します。また、対象賃金が時給や日給、月給、出来高給等で複合的に構成されている場合には、それぞれの時給換算額を合計した賃金額を最低賃金と比較します。
詳細は各労働局や各労働基準監督署で確認してください。
4.最後に
平成30年に発表された政府の基本方針では、最低賃金を年3%程度を目途に引き上げ、全国加重平均1,000円を目指すとされています。現在の全国加重平均額は930円なので、今後も最低賃金は上昇することが予想されます。そのため、これまで行ってきた業務の効率化等、あるいは生産性を向上させる活動を、今後も強く推進していく必要がありそうです。