Q.
社内の不正や法令違反を知った場合、どうすればよいか。告発すれば嫌がらせや降格・解雇等の懲戒処分を受けてしまわないか心配です。
A.
企業等の不正や違法行為等を明らかにし、是正するための手段の一つとして、公益通報制度があります。
公益通報とは、企業などの事業者による違法行為等を、労働者(パート・派遣・取引先労働者等)、退職後1年以内の退職者・役員が、不正の目的でなく、組織内外に設置された通報窓口に通報することを言います。
公益通報者保護法において、常時使用する労働者が300人を超える全ての事業者は、内部公益通報体制整備が義務付けられており、300人以下の事業者は努力義務となっています。
通報者は法律によって、解雇、降格・減給その他の不利益な取扱い、損害賠償請求から保護され、通報したことを理由に労働者を解雇や懲戒処分にする行為には、個人には6か月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金、法人には3000万円以下の罰金を科すとされています。
また、書面による内部通報を行った日から20日を経過しても通報対象事実について通知が無い場合、また正当な理由なく調査が行われない場合、通報者は企業外部への通報に関しても不利益な取扱いを受けない保護の対象となります。この場合の通報者とは、家族などの第三者が本人の承諾の下で通報を代行している場合も含まれます。外部通報先とは、行政機関(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署・公共職業安定所等)又は報道機関等であり、不正があると信ずるに足る相当の理由があることが必要です。
一般企業の通報対象事実の例として、不正な売上計上、社内での横領行為、談合や贈収賄、架空経費の請求行為、データ偽装や品質偽装、パワーハラスメント及びセクシャルハラスメント(暴行・脅迫や強制わいせつ等の犯罪行為に該当する場合のみ)、違法労働などが挙げられます。
公益通報制度を適切に活用することで、事業者は社内の不正を早期に発見して対処することができ、自浄作用を高めることができます。そのために、通報者の保護や秘密保持の徹底など、企業の内部通報制度運用規定を整備しておくことが重要です。
公益通報者保護制度の概要については、消費者庁のホームページ等を参考にご確認ください。
(参考)消費者庁ホームページ 公益通報者保護制度
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system