お知らせ

競業避止義務について

2024年8月26日

Q.
自社の社員が退職後、同業他社へ転職することについて、禁止することは可能か。

A.
労働者は、所属する企業と競合する企業に就職することや、競合する会社を設立するなどの競業行為を行わない義務を負っているとされており、これを競業避止義務と言います。

在職中については、企業の正当な利益が侵害されることを防ぐため、労働契約の付随義務として競業避止義務が認められると考えられており、労働者が競業行為を行えば、懲戒処分や損害賠償請求、場合によっては解雇事由にもなり得ます。
退職後については、職業選択の自由(憲法第22条第1項)を侵害する可能性があるため、企業に正当な利益があるとしても、競業避止義務は限定的であるとされています。
退職後に競業避止義務を課す場合は、契約上の明確な合意(競業避止特約)や就業規則による定めが必要とされており、別途ペナルティが課される場合もあります。具体的には、懲戒処分、退職金の減額又は不支給、損害賠償請求などがあります。しかし、その制約が有効かどうかは、最終的に個々の事案ごとに裁判で争われることとなります。

今回のケースにおいては、就業規則又は特約で競業避止義務についての規定が無ければ、退職を引き留めることはできませんが、競業によって企業の正当な利益を害すると認められる場合は、損害賠償請求が可能となる場合があります。

トラブルを防止するためにも、従業員が競業避止義務について正しく理解するための研修の実施をお勧めします。