2020年1月6日
Q.
今まで60歳以上の社員を採用したことがなく、労働保険料の納付や被保険者資格の得喪については事務員も慣れていたが、高年齢雇用継続基本給付金についてはあまり関心が無く2年間放置してしまった。
この度社員から補償の申出を受け、どうしたら良いか悩んでいる。
A.
平成16年1月の雇用保険法施行規則改正以後は、事業主による60歳到達時賃金証明書の提出義務は廃止され、当該給付金の支給を受けるためには被保険者自らが必要手続きをする事となりました。法的には自己責任が基本という事となります。
しかしながら労働者がこの制度の存在を知る事ができるか、制度を理解し自ら手続きができるか、2か月毎にハローワークへ私用外出が可能かどうか等労働者としての性格や置かれる立場からして、軽視されるものではないと思われます。
結論として、事業主が未支給相当分を補償する法的根拠はないが、一方「労働者が高年齢給付金の手続きを行うことが困難である場合には、事業主はそのサポートに助力しなければならない」という努力義務規定(雇則101の9)が存在する。高齢者の労働力化が叫ばれている今日、労働者のモラルや定着性アップといった当該給付金本来の目的を考慮したならば、労働者のこれまでの逸失利益額の数割分の額を賞与等の名目で補填するのが妥当と思われます。
社会保険労務士に顧問委託している場合には発生しにくいケースと考えられますが、委託していない場合であっても疑義があれば相談することをお勧めしたい。