基礎知識Q&A

障がい者の雇用に係る留意点について

2025年12月26日

Q.
障がい者の雇用を検討しているが、どのような点に注意すればいいでしょうか。また、採用後に会社とのミスマッチがあった場合には、どのように対応すればよいでしょうか。

A.
障がい者雇用を推進することは、企業価値の向上や多様性のある組織づくりなどに効果があるとともに、働き方を見直すことで業務効率化や生産性向上に繋がるなど、会社に様々なメリットをもたらすことが考えられます。また、国においても障害者雇用促進法により、事業者に対して一定の割合で障がい者の雇用を義務付け、雇用における障がい者の差別の禁止、合理的配慮の提供義務を定めています。

障がい者の雇用にあたっては、障がい特性を把握するとともに、安心して働くことのできる職場環境を整える必要があります。具体的には、手順書の作成や業務の適切な切り出しにより、業務を明確化することや、一緒に働く同僚に対する理解促進のための研修等を実施することなどが挙げられます。

採用した障がい者の業務遂行能力が想定と異なっていたことで、周りの職員に負担が生じ、業務に影響が出るような場合は、サポート体制のさらなる強化や別業務への配置換えなどの対応が考えられます。勤務不良が見られたため、やむを得ず解雇を検討する場合でも、障がいを理由とした一律の解雇は認められません(障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止指針)。ただし、「客観的に見て合理的な理由があり、解雇が社会通念上相当と言える場合」には解雇が認められる場合があります。その際は、会社が当該従業員の障がいの特性を理解したうえで適切な注意や指導を行い、従業員に改善の機会を与えたにも関わらず、問題が解決しなかったなどの事情が必要です。

障がい者雇用を円滑に進めるためには、採用前の準備と職場全体の理解・体制づくりが不可欠です。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構などの支援機関と連携し、準備を進めることをお勧めします。

※障害者雇用率制度においては、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象としています。ただし、障がい者雇用に関する助成金によっては手帳を持たない方も対象となる場合があります。

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