Q.
仕事中、労働者が第三者や会社に損害を与えたとき、また、労働者が損害を被ったときは、原則としてどのように取り扱われるのでしょうか。
A.
1. 労働者が第三者に損害を与えたとき
事業執行の範囲内であれば、「使用者責任」に基づき、
使用者がその責任を負うのが原則です。
損害賠償をすべき場合とは、
①労働者の行為が民法709条の不法行為(故意や過失によって他人に損害を与える行為)
に当たる場合であって、
②雇用関係があり、
③労働者の行為が使用者の事業の執行についてなされた事の3つの要件を満たす場合
です。
2. 労働者が使用者に損害を与えたとき
労働者が労働義務又は労働契約に付随する義務に違反して使用者に損害を与えた場合は、債務不履行に基づく損害賠償責任を負います。また、労働者の行為が使用者に対する不法行為に該当する場合は損害賠償請求することもできます。
労働者が第三者に対して侵害を与え、会社が使用者責任に基づいて第三者にその損害を賠償した場合には、会社はその労働者に対して求償権を行使する事ができます。但し、労基法16条では、賠償予定を禁止していますので、予め就業規則や個別労働契約などで定めておくことはできません。
3. 労働者が業務により損害を被ったとき
労働災害として、労災保険給付の対象となりますが、被った損害が保険給付で賄いきれない場合等においては、労働者は使用者に対して民事上の損害賠償責任を追及する事があります。これは使用者の「安全配慮義務違反」と主張されることが多いようです。
使用者は、労働者が安全に労務を提供できるように配慮をしなければならず、これを怠った事で事故等が発生して労働者が損害を被った場合には、労働契約上の債務不履行責任を負うこととなります。但し、
①予見可能性の無い事由によって生じた損害
②予見し得た損害に対して、これを回避するべく社会通念上相当な措置を講じていた場合
③使用者による安全配慮義務違反と労働者の損害という結果の間に相当因果関係がない場合
には、使用者は責任を負いません。
なお、損害発生について労働者側の要因が大きい場合、使用者の負う損害賠償義務が軽減される事があります。









