企業インタビュー
寒河江市

株式会社丸の内運送

安心安全な職場づくりを追求しています
代表取締役
小林 茂美 氏

<会社概要>
〒991-0013 寒河江市高田三丁目84番地の1
電 話:0237-86-2541
資本金:1,850万円
設 立:昭和63年12月
社員数:190名(男 155名 女 35名)
R6.7月1日現在

会社の概要について教えてください。


株式会社丸の内運送は、1988年(昭和63年)に寒河江市で創業しました。当社は、物流を通じて社会の重要インフラを担う会社です。配送オペレーションが4拠点、荷役オペレーションは5拠点あり、食料品や紙類、文具用品などを毎日約80台の車両で県内全域に配送しています。
当社がチカラを注いでいることとして、安心して働ける職場づくり、社員教育のしくみづくり、社会貢献の推進があります。

社員が働きやすい環境づくりのために、会社として大切にしていることは何ですか。

私たちは運送会社として、安心安全というものを最も大切にしています。安心安全という言葉は、仕事ぶりを対外的にアピールするのに使うのが一般的かと思いますが、我々はまず社員が安心して働ける安全な環境を整えようと考えていますし、それが他社と比べた時の強みになっていると思います。

ドライバーの人材確保はどうされていますか。

我々の業界は典型的な労働集約産業であって、人材確保が大きな課題です。魅力が薄い業界とも言われ、採用には厳しいところもあります。そんななかでも、県内の全産業の平均給与所得の水準を目指して待遇の改善を図り、去年達成できたところです。取り組みの成果が業界内で広まったこともあるのか、中途採用で人が集まってくるようになりました。4月以降で6人採用し、女性ドライバーも1人増える予定です。ここで働きたいと思ってもらえる、選ばれる会社になっていきたいと思います。

今年の4月からドライバーの時間外労働についても上限規制が適用されることになりました。影響はありましたか。

我々としては、こうした問題が出てくるのは前々からわかっていたことでもありますので、早い段階から対策ができていたと思っています。ドライバーの労働時間を会社のシステムで管理し、時間外労働が月あたりの上限を超えそうなドライバーには新しい仕事をお願いしないなど、助け合う体制ができています。
経験の浅いドライバーの時間外が増えるのは仕方ないところもあるので、会社が責任を持って管理するというのが大切だと思います。

ドライバーの負担を減らすために、どのような取組みをされましたか。

我々の業務は決まったコースを回る配送になることが多いのですが、そのコースを担当できるドライバーが1人しかいないとなると、どうしても代わりがおらず休めないことが出てきます。そこで、複数のコースの配送ができるドライバーの育成に取り組み、ドライバーごとに対応可能なコースを見える化した「ドライバースキルマップ」を作成しました。
また、ドライバーを増員することで、ゆとりを持った配車編成ができるようになり、一人当たりの負担が軽減され、有給休暇取得日数の増加につながりました。

配送ルートの見直しもされたそうですね。

我々の配送ルートには、どうしても拘束時間が長いコースが出てきます。詰め込みすぎて、時間外労働ありきのコース設定になっているところもありました。そのため、従来の考え方を変えて、業務内容の分析を行いました。例えば、待ち時間が多いなど拘束時間の長い4つのコースを細分化して、5つのコースに再構築するなどです。これまでは一部の配送コースを担当するドライバーに時間外が集中する傾向がありましたが、こうした取り組みにより時間外労働も減少しています。
この取り組みを進めるうえで、荷主さん主体のコースではなく、我々主体のコースに切り替える必要が出てきます。運送というと、依頼があって物を運ぶという受け身の業界でありましたが、我々主導でコースを作成してお客様に提案することで、配送コストを下げて生産性を上げることができます。荷主さんには提案をご理解いただきながら改善を進めてきました。
 早川取締役(左)、会田専務(右)

取組みの成果を挙げるために大切にしていることは何でしょうか。

現状を把握して数値化し、効果検証を行うことが大切だと思います。2年定着率及び4年定着率の推移、女性社員率、一人あたりの有給休暇取得日数、月の平均時間外労働時間、喫煙率などを会社として把握して、社員と定期的に共有しています。
我々が目指しているのは、社員が安心して能力を発揮できる環境を整えて、一人ひとりの価値を高めることであり、そのための環境整備の成果は出てきていると思います。

女性のドライバーも活躍されていますが、働きやすさのために工夫していることはありますか。

荷物の重さや大きさを配慮するのはもちろんのこと、家庭の事情があって勤務が難しい時間帯を避けたり、逆に夜間が良いというドライバーもおりますから、ある程度希望に合わせて働いてもらっています。男女問わずですが、受け身ではなく、その人に合わせた仕事のやり方を自分たちで考えていきましょうよというのが、我々の進めていきたい方向性です。

健康経営にも積極的に取り組まれていますね。

社員が病気などで休まなければいけなくなると、会社にとっても社員にとっても損失になるわけです。社員が健康診断で要再検となった場合は、100%再検査を受けさせます。社員には健康でいることで安心して仕事に取り組んでもらいたいし、療養のために休むのではなく、リフレッシュのために有給休暇を取ってもらうことで、生産性も上がっていくと思います。
また、当社では全額会社負担で全社員に対して脳ドックを受診させました。通常の健康診断では脳まで検査はしません。運転中の不慮の事故を防ぐために、ドライバーの脳ドック受診が推奨されていますが強制ではありませんでした。しかし、安全に荷物を届けることが何よりも大切なことですし、社員の健康を社員の自己責任にするのではなく、会社が責任を持って管理するということで、ドライバーだけでなく全職員を対象にしました。何かが起こってからでは遅いですから、費用はかかりましたがやって良かったと思います。

どのように社員とのコミュニケーションをとっていますか。

社員と接する機会をたくさん作るようにしています。我々の会社は、ドライバーは基本的に外に出ているし、勤務シフトもバラバラで顔を合わせる機会というのは多くありません。 会社の考え方を共有するためにも、社員と面談する機会を多く作りたいと考えています。
また、社員から業務改善のための提案を募集し、表彰する制度があるのですが、もう少し充実させていきたいと考えています。大きく制度を変えるようなアイデアでなくても、社員には働きやすさのためだったり、無駄をなくすような、ほんの少しの気付きを大事にして欲しいので。

社内公募のスローガン

これからの抱負を教えてください。

改善しなければいけないことはありますが、課題をちゃんと考えて、少しずつでも改善していくことですね。できないと諦めるのではなくて、より良くするためにどうするか考えて、手法を変えていこうじゃないかと思っています。だから、そこに苦労はありません。できないと考えるから苦労になっちゃう。できるってことを前提にすれば、前向きに進むしかないので。私はすべてプラス思考しかないですから。

【従業員の声】

①事務職女性
従業員の健康に対して、すごく取り組んでいる会社だと思います。検診に対し会社からの補助がたくさんあります。脳検診は金額が高く、具合が悪い時しか行けないと思っていましたが、会社の全額負担で受診でき、自分の状態を把握できたので安心しました。今年度より婦人科検診の補助が出るようになったので、2年に1度の検診ではなく毎年受診しようかと自分の健康にも気を遣うようになりました。
事務所内にいる人に限定されますが、お昼ご飯時に専務特製の豚汁、肉そば、ひっぱりうどんなど食べられるので毎回楽しみにしています。

②女性ドライバー
仕事の種類が色々あるので、女性に合った仕事を配慮して頂いてコースに入っているのでとても働きやすいです。仕事で困った時に相談しやすい環境を作って頂いているので安心して仕事ができます。 健康診断の時には婦人科検診の補助がありとても助かっています。丸の内運送は働く環境がとても良いと思います。

認定関係
●やまがたスマイル企業(ゴールドスマイル企業)
●ベストプラクティス企業
●働きやすい職場認証制度「二つ星」
●山形健康づくり大賞受賞
●健康経営優良法人「ブライト500」中小規模法人部門

株式会社丸の内運送ホームページ http://marunouti.jp

取材:令和6年7月