企業インタビュー
鶴岡市

社会福祉法人道形保育会 ちわら菜の花こども園

職員の声を活かした、風通しの良い職場づくり
園長
菅原 光輝 氏

<施設概要>
〒997-0019 鶴岡市茅原字西茅原129-1
電 話:0235-26-7311
設 立:令和2年4月
社員数:38名(男 3名 女 35名)
令和6年12月1日現在

園の概要について教えてください。


社会福祉法人道形保育会の2つ目の園として令和2年4月に開園した幼保連携型認定こども園です。子どもが本来持っている能力を引き出し、伸ばす保育・教育を通して、社会でどんなことにも立ち向かうことのできる人間育成の土台を作ることを目指しています。

どのようにワーク・ライフ・バランスの取組みを進めてきましたか。

働きやすい環境を整えて、職員が感じる仕事のストレスをなるべく減らしてあげたい、知人に「自分の職場で働いてみないか」と誘えるような職場を作りたいと考えたのが、そもそものきっかけです。
私はもともと鶴岡市内で無線機などを作る会社に技術職として勤めていて、その後保育園で働くことになりました。 私がこの業界に入ってから、職員に大変なことは何か尋ねると、「休みが取りづらい」という声が大多数でしたので、まずは休暇制度を作るところから始めていきました。
当時は、自分の子どもの体調不良などで休みを取る職員は多くいましたが、自分のために休めていないと思っていました。やっぱり休みは自分のために取るべきという考えがあり、自分の誕生日をゆっくり過ごしてほしい、職員に気兼ねなく休みを取ってほしいという思いがあったので、私がかつて勤めていた会社にあった「誕生日休暇制度」を採り入れました。

職員の方の反応はいかがでしたか。

休みを取る職員がいるということは、当然それを補う職員も必要なわけです。その負担が増えることは不安でしたし、反対の声が無かったわけではありません。ですが、そこはお互い様だということを常に言い続けています。
今では制度が定着しており、ほとんどの職員が活用しています。職場にとって、休みを積極的に取ろうと意識が変わったことと、工夫次第で働き方を変えていけることがわかったことが、とても大きな成果だったと思います。
お互い様の気持ちで、助け合いながら休みを取るという雰囲気ができています。

他にはどのような休暇制度がありますか。

勤続年数が20年を超えた常勤職員に対して、ゴールデンウイーク期間中に2日間の有給休暇取得を奨励するため「プラス2day休暇制度」というものがあります。ゴールデンウイークは、我々にとって貴重なまとまった休みを取れる機会ですから、できるだけ飛び石連休をなくして長く休んでもらおうというものです。
また、勤続年数が5年、10年、15年の職員に対し、土日・祝日にプラスして1日の有給休暇取得を促進する「プラス1day休暇制度」もあります。どちらの制度も職員同士が勤務日などを調整しながら、うまく活用できていると思います。
それ以外にアニバーサリー休暇というものもあります。これは家族の誕生日や結婚記念日など自分にとっての記念日に有給休暇を取得してもらうものです。1年間の育児休業から復帰する職員が子どもの1歳の誕生日を一緒に過ごせないとの声を受けて、その日を休みにしてもらおうと考えたのが制度をつくったきっかけになります。

映画鑑賞等のための制度もユニークだと思いました。

「プレミアムファーストデー」という制度は、ストレスを解消し心を豊かにする目的で、映画鑑賞等のため2時間の有給休暇取得を奨励し、チケット代も1.100円まで負担するものです。
私は本を読んだり映画を観るのが好きで、そういったものから色々な刺激を受けます。保育園というのが閉ざされた世界なのは否めないところでもあり、考え方も狭くなりがちです。外の世界の刺激を受けることで、色々なことに考えを巡らせたり、視野を広げる機会にして欲しいと考えて導入しました。
日頃、仕事と家事に追われている職員も多いですから、いつもより早く仕事を切り上げて、映画などを観てから帰ることでリフレッシュしてもらいたいと思います。

働き方改革を進めるうえで大切にしていることは何ですか。

働きやすい環境を整えるうえで一番大切なのは、職員が思っていることを知ることだと思います。働くうえで何が問題になっているのか、どこに不満があるのかを知らなければ、何から手を付ければよいかわかりません。職場の親睦会で職員の本音が聞けるときもあります。
私からは見えにくい問題点を吸い上げ、できるところから変えていくしかないと思います。

職員の方の要望をどのように聞いていますか。

福利厚生に関することは、改正アイデア募集という形で職員から改善点や要望を書き出してもらいます。実際に、職員のアイデアから制度を改善したものもあります。
例えば、令和6年度から誕生日休暇を有給休暇ではなく特別休暇にしました。また、育児による短時間正社員制度の利用期間についても、これまで子どもが小学校就学前までだったところを小学校3年生までに延長しました。職員からも、「子どもが小学校に入りたての頃が一番手がかかり、育児と仕事の両立が大変なので、とてもありがたい。」という声がありました。
これからも全ての職員からアイデアを募集し、可能な限り実現させていきたいです。なるべく不公平感が無く、多くの職員が利用できるものからとは思っていますが、職場の状況を見ながらより良い制度を取り入れていきたいです。
職場環境を向上させることが、保育や教育といった仕事の質の向上につながると考えています。

職員のスキルアップについては、いかがですか。

講習会や勉強会、研修会を積極的に受講させています。オンライン開催も増えていて、保育士としてのキャリア別のマネジメント研修や、感染症、子どもの発達や障がいについての内容など、様々なものがあります。
今はインクルーシブ保育と言い、様々な特性を持つ子ども達を同じ空間で見る方法が主流になりつつあります。その中ではどうしてもトラブルが起こりやすくなりますので、手厚く見守る必要がでてきます。職員としても知識や観察力など多くが求められるようになっていますので、職種に関係なく研修の機会を与えるようにしていきたいです。

従業員の声 (保育士・女性)

私が保育士になりたての頃は、自分のために有給休暇を取るという感覚が全く無かったのですが、ここではお互いに助け合って気持ちよく休もうという雰囲気があるので、休みも取りやすいです。
誕生日休暇やアニバーサリー休暇という制度も、仕事を忘れてゆっくり過ごせる貴重な機会になっています。特にアニバーサリー休暇は、「自分の子どもの1歳の誕生日から仕事が始まるのが辛い、せっかくの初めての誕生日をお祝いできない」という私たちの声を園長が汲み取って、すぐに制度を作ってくれたので感謝しています。
子どもたちのために長時間働くのが美徳という考え方が昔はありましたが、ここでは時間内に効率的に仕事を終わらせようという考え方で、園長をはじめ周りの人が、仕事を抱えている人をサポートしてくれるので、とても働きやすい環境だと思います。

本稿で紹介した各種福利厚生制度は、社会福祉法人道形保育会の制度として、「道形保育園」と「ちわら菜の花こども園」の、いずれの園でも利用可能。

 やまがたスマイル企業(ダイヤモンドスマイル企業)

取材:令和6年12月