会社の概要について教えてください。
昭和34年(1959年)の創業以来60年余り、山形に本社を構え、南東北3県にて木造住宅の設計、建築を行っております。地元の企業だからこそ、南東北の夏暑く、冬寒い過酷な気候・風土を知り尽くし、そのノウハウを生かして自社オリジナル工法による快適な住まいをご提供しております。
お客様の理想の暮らしを叶えたいという想いから自由設計を得意とし、これまでお引き渡ししたお住まいは1万7000棟以上。お客様にとことん寄り添った家づくりを心がけています。
本社エントランス
人材開発室ができた経緯を教えてください。
人材開発室は、社員の採用や福利厚生のサポートを主な業務として平成30年の10月に創設されました。
それまで、採用や社員のフォローは総務部が業務の一部として行っていましたが、「人手が足りずに十分な採用活動ができない」、「社員に対して目が行き届かない」といった難しさがあり、その課題に専門的に対応する部署として創設されました。
働きやすい職場づくりに、どのように取り組まれていますか。
産休・育休から復帰する社員のサポート体制をつくることに力を入れています。人材開発室が創設されて間もなく、育休から復帰する女性社員が2名おりました。それまで育休を取得し復帰する女性社員はほとんどおらず、後に続く後輩たちのためにも「妊娠が判明してから、職場復帰までをどのように支援し、仕事と家庭の両立を叶えるか」という観点から取組みを検討しはじめました。
具体的には、妊娠を控える女性社員に対し、妊娠中(休暇前)・育休中・復帰後と複数回の面談を実施し、仕事と育児の両立のための制度周知や働き方の希望の聞き取りを行うことで、個別対応フローを作成しています。
また、令和4年4月からの育児・介護休業法改正に伴い、配偶者が出産を控えている男性社員への個別面談も実施しています。
取組みの成果はでていますか。
取組みを始めて以降、女性社員で結婚・妊娠・出産を機に退職をする社員は1人もおらず、育休後の復帰率は100%となりました。人材開発室が休暇前と復帰前の個別面談と、上司も交えた三者面談を実施することで、出産を控える社員の対応に不慣れな上司にも制度を周知することができ、あらかじめ本人の希望を伝える機会を設けることで、休暇をとる社員も安心して復帰できる環境を整備しました。
また、以前は男性社員で育休をとる方はおらず、そもそも早い段階でパートナーの妊娠を報告してくれる社員も少数でしたが、人材開発室が窓口として設置され、個別面談の機会があると周知されて以降は、事前に相談をしてくれる人が増え、取組み開始から3年足らずで10名の男性社員が育休を取得しました。平均取得日数も91日と、少しずつですが伸びています。
相談窓口ができたことについて、社内の反応はいかがでしょうか。
妊娠・出産について会社が相談にのるということが定着をしてきたのか、男性女性問わず妊娠・出産に関して早い時期に相談を頂けるようになり、育休をとるための事前準備もしっかりとできるようになりました。また、妊娠・出産以外でも、「結婚を予定しているがどんな手続きが必要ですか」「実は介護をしているのだけど、どんな制度がありますか」など、家庭と仕事の両立についてご相談を頂く機会が増え、以前よりも人材開発室を窓口として身近に感じて頂けているのではないかと感じています。
住宅の会社ということもあり、お客様との打ち合わせでは子育ての話題も多くなります。育休を取得した社員からは、「お客様と子育てについて話せることが増え、自身の育休の経験を話すことで良い会社だと評価して頂けた」といった声も聞いており、良い方向に進んでいると思います。
実際、人材開発室との面談の中で、「仕事と家庭の両立に慣れるまでは時短勤務にしたい」「子供の送迎時間の都合上、出社・退社時間を変更したい」という復帰社員の希望を把握することができ、直属の上司と一緒に個別の対応を検討することで、時短勤務や時差出勤の前例をつくることができました。
社員からは、「産後は勤務日の日曜日と平日の休みを振り替えて働いている先輩社員の実例があるので、安心して職場と勤務日の振り替えの相談ができた。」「時短勤務についての職場の理解が得られて家庭とのバランスを取りながら仕事に臨めるようになった」という声が寄せられています。
育休などの制度を周知するにあたって、工夫したことを教えてください。
男性育休については、職場の理解を得ることに難しさを感じていたため、特に力を入れました。令和4年の法改正の際に、管理職や子育てをしている男性社員を中心に、男性育休等に関するヒアリングを行った際、「育休をとると収入が減るから自分ならとらない」、「育休をとるとキャリアに影響をするのでは」といった声が複数ありました。育休に対する不安要因の1つとして、育休に関する制度を知らないのではないかと考え、管理職向けに育休に関する説明会を支店ごと実施しました。実施のタイミングも、所属社員で出産を控える方がいるタイミングで、その方を一つのサンプルケースとしてお話しすることで、管理職の方にも「自分ゴト」としてイメージしやすいように工夫をしました。
また、出産・育児に伴って活用できる各種制度をまとめた「ウンノハウス 子育て応援の手引き」と、出産予定日を起点に、その前後で必要な手続きを記載した「妊娠・出産・育児カレンダー」を作成しており、面談の際に活用しています。
必要な手続きが分かると、お休みに向けて計画的に準備ができますし、職場としても計画的に引継ぎをしてサポート体制を整えることができます。会社が仕事と育児の両立を全力でサポートするんだということが社員に伝わるといいなと思います。
子育て応援の手引き(表紙と目次)
健康経営にも力を入れているとお聞きしました。
私どもは、社員がいきいきと働き続けるために、健康経営にも力を入れています。
例えば、全ての支店に体組成計と血圧計を備えており、社員がいつでも自分の健康状態をチェックすることができます。専門家のアドバイス(申込制)を受けることもできます。
また、アプリを活用したウォーキングイベントも毎年開催しています。一定期間中の歩数をアプリで集計し、目標の達成度に応じて景品がもらえるもので、気軽に多くの社員が参加しています。
加えて、社員が集まって行う集合型のウォーキングイベントも毎年開催しております。例年は、蔵王高原を歩くのですが、今年は宮城県の東松島市に行って、海を見ながら歩いてきました。参加者は45人ほどでしたが、社員同士でコミュニケーションが取れるのが魅力です。所属する支店や部署が違う人と交流する機会にもなり、横のつながりが生まれるきっかけにもなっています。
社内広報用資料、ウォーキングイベントの様子
社員の育成はどのようにされていますか。
弊社では、まず3か月の新入社員研修があり、入社5年目までは毎年研修を行っています。これらの若手研修は、1~2年目が一緒、3~4年目が一緒と合同で行っており、先輩と後輩の交流が生まれやすいというのが特徴になっています。
また、次期管理職候補向けにも、経営的な視点を持ってもらおうと毎年テーマを変えて研修を行っています。
そのほか、実務に直結する研修を職種ごとに行っています。
社員のスキルアップのために、どのような制度がありますか。
社員の学ぶ意欲を応援するため、チャレンジ制度を設けています。社員が業務に活かすための外部研修の受講を希望する場合、会社に申請することで受講料等を全て会社で負担します。こちらからもセミナーなどの情報を社内に提供して、制度を活用する社員の数をもっと増やしていきたいですね。
これから取り組みたいことはありますか。
育児や介護などの共通体験を持つ社員同士が繋がれる場を作りたいと考えています。部署や支店の垣根を越えて、同じ経験を話し合えるコミュニティがあれば、社員同士の連帯も強まりますし、社員ごとの経験を共有することで、仕事との両立に役立てることもできると思っています。
社員同士の繋がりをとても大事にしていらっしゃいますね。
弊社の場合は、チームで仕事をするという意識が強いですね。営業・設計・施工管理の3人でチームを組んでお客様を担当する際はもちろんですが、営業同士でも一つのチームという感覚です。営業職というと、自分以外はみんながライバルと捉えられがちですが、お客様から喜んでいただくためにはどうすると良いのかを、営業同士で協力してアイデアを出し合っています。みんなで協力して目標を達成しようと考えているので、よくイメージされる営業像とは違うかもしれません。ですが、大前提としてお客様の理想の住まいを叶えることが一番大切なことなので、そのための協力は惜しまないという感覚は全社員が持っていると思います。
建設業の中でも住宅というのは、そこに住まうお客様の顔を見ながら作る仕事です。お客様の人生と深く関わり、信頼関係を築きながら、価値を提供できるというのが一番の魅力だと考えています。
これからもお客様が毎日帰るのが楽しみになるような、そんな思い入れあるお住まいを1棟1棟丁寧に手掛けていきます。
やまがたスマイル企業(ダイヤモンドスマイル企業)
株式会社ウンノハウスホームページ https://unnohouse.co.jp
取材:令和6年10月