女性42名 男性360名(合計402名)
日本航空電子工業㈱のグループ会社(国内外28社)として、1973年に新庄市に誕生した山形航空電子㈱(代表取締役社長 長沼 俊一)。世界でもトップレベルの技術力で、スマートフォン、タブレット、パソコン、デジタルカメラのような携帯機器や自動車に使用される精密なコネクタをメインに製造を行っている。
◎平成28年度「山形県ワーク・ライフ・バランス優良企業知事表彰」受賞
◎「山形いきいき子育て応援企業」登録・認定について
優秀(ダイヤモンド)企業認定 平成28年9月
◎企業理念
『開拓、創造、実践』
限りなく変化する社会のニーズに応えて、たえまなく開拓し、創造することが企業の使命である。広大な宇宙にあって、恒に自転し周行し乍ら止む事の無い変化の中に、無限の安定と希望を人類に与えつづけている地球に企業本然の姿を求むべきである。開拓と創造は独立自由の環境に生れ、たゆまぬ探究と自ら困難を打開する行動によって育つ。此の原理を実践し、益々社会に貢献する事こそ 企業の目的であり、発展の根本である。
◎独自のサポート制度で、男女ともに働きやすい職場環境を実践
ワーク・ライフ・バランスに取り組み、男女ともに働きやすい職場環境を実践している山形航空電子(株)。具体的な取組みについて、総務部課長 奥山博美さんと同部主任の杉原英里さんに伺った。
「サポート制度については育児休業、介護休業、フレックスタイム制度など、国が定める制度はもちろんですが、育児アシスト制度、特定目的休暇制度など弊社独自の取組みを行っています」と奥山さん。
最初に育児休業制度について話を聞いた。「現在、20代後半~30代前半の女性社員が少ないこともありますが、育児休業を取得している社員はおりません。同居または近くに両親がいたり、地域柄子どもを預けられる環境があるという理由もあると思います。とはいえ、20代の女性社員が増えてきているので、今後、育児休業を必要とする社員が出てくると思います。また、今後の課題として、男性の育児休業についても、取得したい時に、取得しやすいような社内の環境づくりを心がけていきたいと考えています」
近い将来のため、支援制度を利用しやすい環境にするべく社内での周知を図りながら、取組みを行っている。
◎男女関係なく、「個」としての人材育成に力を注ぐ
総務部総務・人事グループの主任として忙しい日々を送る杉原英里さんは、平成5年4月に入社。3年前、女性として初めて役職に就いた。総務部では社員の人事関係、採用関係、給与関係、教育関係、お客様の対応など幅広い業務を行っている。「総務は社員のために業務をする部署なのでやりがいを感じます。役職についた時は今まで以上に責任が伴うので、がんばらなくてはと思いました。同じ会社に勤める夫の理解と実家の協力を得ながら毎日働いています」と杉原さんは語る。
女性人材育成のため、女性社員には県や新庄市で開かれる女性リーダー研修への参加を積極的に勧めている。「特に女性だから、男性だからということではなく、若手社員から管理職まで、その時期や職種、スキルに合った研修を計画し取り組んでいます。また、技能検定を受けたりしながらスキルを高めてもらい、そのことが仕事に対するモチベーションに繋がるような取組みを行っています」という奥山さんの話からは、性別ではなく「個」として人材を育てていきたいという思いが伝わってくる。
◎フレックスタイムや特定目的休暇制度等、利用しやすい制度の導入
「男女問わず、フレックスタイムを有効に利用している社員もいます。例えば、子どもの登校時間が自分の出社時間よりも遅い日や、家族を病院に連れて行かなければならなくなった場合など、“理由”に縛りがないので利用しやすいようです」と杉原さん。また、医療目的や子供の学校行事目的に利用できる特定目的休暇を、年に5日付与(最大30日まで積立てが可能)していることから、年次有給休暇とあわせて利用することも可能だ。
3年前からは定時退社日を毎週水曜日に設定。総務部では、月半ばに各部署の時間外時間データをもとに、残業時間の多い部署に注意喚起するなどの管理を行っている。来年度からの法改正を前に、平成30年4月から一か月あたりの残業時間の上限をこれまでの120時間から80時間に引き下げた。残業時間を減らすための方策として、個人のスキルを高めていくことが重要になってくる。
◎10年前に導入!「育児アシスト制度」
奥山さんから、10年も前から導入している支援について話を伺った。「弊社では独自に、次世代育成支援に取り組んでいます。その一つ『育児アシスト制度』は、扶養している子どもに対し、出産や就学期に合わせて、10万円から最大45万円の補助金を出す制度で、出産、育児への支援対策を強化していこうと、平成19年度に導入しました」
◎「トータルワークライフバランス検討委員会」で課題解決に取り組む
山形航空電子(株)では、すでに平成18年度から「トータルワークライフバランス検討委員会」を立ち上げている。「この委員会は、それまで不定期に開催していた労使懇談会を定期的にやろうと、会社側と労働組合の執行部が集まって始めたもの。会社側としては経営状況を組合に説明し、組合側も社員が抱えている課題や要望を報告しながら、一緒に問題の解決を図っていければというのが発足の経緯です。現在、2カ月に一度のペースで委員会を開催し、例えば、特定目的休暇制度では、社員が仕事を休んで『地域の消防団などのボランティア活動や技能検定の受検』が出来るように、使途目的の範囲拡大や制度の改革についても話し合いが行われます。また、組合が社員に向けて行った“生活実態”アンケートの結果を分析したり、喫煙場所の要望について対応するなど、大小問わず、日頃考えていることを話し合える場となっています」(奥山さん)
◎インターンシップ制度の導入と、そこから生まれる地域貢献
「新庄市に弊社のような会社があること、どんな仕事をしているのかを知ってもらう機会にもなるので、インターンシップは積極的に受け入れています。学生に限らず、一般の方も工場見学に来ることもありますよ。人口の流出はどの地方都市でも問題になっていますが、インターンシップを体験してくれた学生の中から『この会社で働きたい』と興味を持って地元に残る若者や、県内外から若者が増えることは雇用の面からの地域貢献だと思っています」(奥山さん)
「最近は就職を希望する学生だけでなく、“職場体験”として中学生も受け入れています。また昨年度は、直接中学校に出向く出張職場体験も行いました。」
(杉原さん)
◎「社員だけでなく、家族も含めて大切にする」をポリシーに
山形航空電子(株)では28年度「山形県ワーク・ライフ・バランス優良企業知事表彰」を受けた。奥山さんは「受賞したことでたくさんの反響がありました。行政や多方面より、ワーク・ライフ・バランスについての取組みや事例について発表する機会をいただいています」と語る。
「ワーク・ライフ・バランスについて考えるとき、もっとも大事にしていきたいのが、『社員だけでなく、家族も含めて大切にする』ということです。“雇用する”ということは、家族に対しても責任を持たなければならないということ。“景気の波に左右されることなく社員の雇用をしっかり守る”という信念をこれまでと変わらず持ち続け、会社全体でより良い職場環境を作っていきたいと考えています」