やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第31回 株式会社ユニバーサル山形

従業員 64名(男性 18名、女性 46名)※平成25年4月現在

<事業内容>
訪問看護事業/訪問リハビリ事業/居宅介護支援事業/認知症対応型共同生活介護事業/特定労働者派遣事業/各種業務受託(看護・リハビリ・講師等)事業
☆平成24年6月山形労働局「くるみん」取得 ※県内中小企業初☆

◎「山形いきいき子育て応援宣言企業」登録について

(旧「男女いきいき・子育て応援宣言企業」 平成24年7月31日登録)

<登録までの経緯>
 訪問看護と訪問リハビリの提供とケアプラン作成を軸に、この春からはグループホーム運営も手がけるユニバーサル山形。訪問看護、訪問リハビリとは、看護師や理学療法士等が利用者様の居宅に訪問し、専門的な看護やリハビリを提供するサービスであり、グループホームとは認知症の高齢者が家庭的な雰囲気の中で、少人数で共同生活を送ることにより、認知症の進行を緩和させ、より良い日常生活を送ることができるよう支援するサービスである。事業所名を「つばさ」として、さまざまな事業を展開している。
 この業種の特徴として、まず「女性職員の力がないと成り立たないんです」と代表の土屋さん。さらには、利用者様にどのようなサービスが提供できるのか、それがすべてであると続けた。「事務所での電話対応等はもちろんですが、利用者様にとっては、どんな人が来て、どんなことをしてくれるのかがもっとも大切なところ。弊社のサービスはまさしく“人ありき”だと認識しています」。それだけに、経験を積んだスタッフが定着してくれるかどうかは生命線であり、働きやすい職場環境の整備はもちろん、産休や育休といった休職からの復帰のしやすさや、子育てを含め、家庭と仕事の両立のしやすさが強く求められる要素になるという。
 基本的に利用者様の受け持ちは担当制にしている。しかしながら、一人の職員が一人の利用者様のためだけにサービスを提供するのは現実的に難しく、必然的に複数名の利用者様を担当させていただくことになる。ここで大切なのが、職員の立場からすると、複数の利用者様のうちの一人であるが、家族等からすると、唯一の家族であるということである。利用者様によって生活してきた環境や考え、身体状況や家庭環境は千差万別であり、その想いを受け止め、状況を踏まえて判断し、個別的かつ専門性の高いサービスを、職員全員が提供する必要がある。
 また、医療の分野でありがちな「診てあげている」という“慢心”を排除し、「診せていただいている」という意識を大切にしている。サービス業であることを意識しなければならないというのが土屋さんの考えだ。この意識を職員全員が保ち、モチベーションを保ってサービスするためには、職員自身の生活の充実も求められる。
 さらに、「つばさ」の特徴として、看護師・理学療法士はいうまでもなく、作業療法士、そして言語聴覚士を各事業所に配置している。個々の利用者様にできる限り専門性の高いサービスを提供する、そのための配置であるわけだが、県内他事業所を見ても、言語聴覚士まで配置している例は少ない。
 多様な職種の職員が「利用者様のため」と思いをひとつにして生き生きと働くことができるよう、土屋さんは、働きやすい職場環境の整備に取り組んでいる。

お話を伺った代表取締役の土屋和彦さん。
山形市内の「在宅リハビリ看護ステーションつばさ」「居宅介護支援事業所つばさ」の事務
所を訪ねた。

◎ 取組み:女性の能力活用

・ 取締役統括所長として女性を登用している。

●成果
・ 現場経験の豊富な女性看護師が訪問看護事業所の所長を務めている例は他事業所で も見受けられるが、取締役という経営面にも関わる役職に女性を登用しているのはレアケ ースである。現場で培ってきた経験をもとに、女性スタッフには同じ女性という立場からの 相談やアドバイスを行っている。

◎取組み:仕事と家庭の両立支援

・ 短時間勤務正職員の制度化を行った。対象職員は、未就学児を養育する職員。(1日の勤務時間を6時間以上8時間未満とし、30分単位で設定が可能)
・ 子の看護休暇を有給休暇扱いとしている。
・ 男女共に育児休業取得を奨励しており、女性従業員の育児休業取得率は100%に達している。
・ 男性職員を対象とする配偶者出産休暇を制度化した。
・ 配偶者出産休暇制度とは別に、配偶者の出産時に利用できる特別休暇(有給休暇扱い)を3日設定した。

●成果
・ 産休、育休からの復帰のしやすさを考えて、正職員と非常勤職員の間に、短時間勤務正職員の形態を設けた。たとえば、朝の子どもの送りは家族に任せて帰りだけ迎えに行くなど、事情に合わせた勤務形態が選択できることから、子育て中のスタッフに好評である。
・ 第一子出産後は仕事と子育てが両立できるかという不安も大きいであろうと、まずは非常勤で復職し、様子を見ながら徐々に勤務時間を増やしていくなど、フレキシブルに対応できる体制を整えている。不安なく復職してもらうための大きな取り組みだ。
・ 男性職員については配偶者の出産時、里帰り出産などの実情を踏まえ、連続で休める制度を構築。しかも有給休暇の扱いとすることで、経済面でのデメリット解消も図っている。
・ 子の看護休暇が有給休暇扱いとなることも、経済面の配慮からである。
・ これらの施策の結果、出産を理由に離職する職員はゼロという成果がある。

◎取組み:男女がともに働きやすい職場づくり

・ 年次有給休暇等の各種休暇の取得促進を進める委員会を設置した。

●成果
・ 利用者の訪問スケジュールや訪問スタッフを調整することで、職員が望むかたちで休暇がとれるようになっている。家族の予定も尊重しながら、生き生きと働いてもらうために有効に機能している。

この春に開設された「グループホームつばさ栄町」では、看板のデザインなどに地元の住民のアイデアも反映されている。
 
2013年5月1日