やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第33回 社会福祉法人 一幸会

従業員 106名(男性 18名、女性 88名)平成25年7月現在

<一幸会の理念>
 高齢者が自分らしい生活を安心して暮らせる介護サービス~住み続けたくなる生活のために~
 高齢者が、自分らしく生活するために、思いやりに溢れた温かい心で、必要な支えを必要な時に提供し、安心される介護を目指します。

<基本方針>
・ 高齢者の生活向上の事業経営
  高齢者が尊厳と生きがいをもって、自分らしい生き方が実感できる事業経営を目指します。従業員は、常に人間性を醸しだす気持ちのもとに、高齢者が自分らしく生き生きと生活できるサービスを提供し、自分も受けたくなる介護に努めます。

・ 地域社会に関わる事業経営
  法人は、地域社会の一員として交流を行うとともに福祉サービス機能の提供などにより、地域福祉の充実に関わる事業経営を目指します。従業員は、地域から育てて貰っているとともに一緒に進むことを大切にし、地域との和を広げて行くことに努めます。

・ 人を育てる事業経営
  人を相手とし、人が行う専門的対人サービスであるからこそ人を育て、育つ環境の事業経営を目指します。従業員は、清潔な身だしなみと明るくさわやかな笑顔で、人と人との会話を重視しながら慕われ、能力を伸ばすことに努めます。

◎「山形いきいき子育て応援企業」登録について

<登録までの経緯>
 平成2年に設立された一幸会は、老人介護事業を中心に事業を展開する。設立当初は、特別養護老人ホーム、デイサービスとホームヘルパーを手がけていたが、近年は、小規模多機能型の事業所や地域包括支援センターなど、その分野のなかでの拡大に加え、高齢者向けサービス付き介護住宅や保育園といった事業進出も視野に入れながら活動中だ。

 「設立当初は、特別養護老人ホームがまだ珍しかったんです。これからどんどん増えていく、そんな時代だったと思います」とは事務局長の伊藤さん。「この業種は、女性の仕事が中心になりやすい」、そんな前提を踏まえながら、「だからこそ、時代に、社会に先駆けて、職場環境の整備に取り組んできました」という。

 以前より職場環境の整備に積極的だったこともあり、「山形いきいき子育て応援企業」の登録に当たっても、「明文化されたことは大きいと思いますが、内容に関しては登録するからどうこうという、特別なものはなかったように思います」。しかしながら、登録をきっかけに、職場内の雰囲気に実感できる変化があった。「もともと人材の育成には力を入れてきました。さまざまな取り組みが年数を経て定着してきたこともあるのでしょう。個人個人のやる気というか、それをうまく引き出せている雰囲気、そんなものを感じるようになりました」。

 その実感は、職場内の空気といった目には見えない感触的なもののほか、年に2回設けられている個別面談でも感じられるという。人事評価の一助として設けられたこの面談では、仕事の話はもちろん、悩んでいることはないか、結婚、出産、介護なども含めて家庭の状況はどうかなどを直接相談に乗っている。

 「仕事自体は、ある程度決まったことの繰り返しになります。そのなかで利用者サービスをどう向上させるかはひとつの課題です。そして、サービスとは設備ばかりではなく、目に見えない人の力でもあります。その力を発揮してくれるのがまさしく職員なわけですから、それぞれがやる気を出せる職場環境というのは、施設にとって生命線でもあるのです」。事業が拡大していくなかで、職員数も確実に増えている一幸会。職員がモチベーション高く働ける職場環境は不可欠なものであるのと同時に、他施設との差別化を図る重要な鍵にもなっているのである。

事務局長の伊藤治さん

◎取組み:女性の能力活用

・ 人事考課規程を策定し、公平な人事評価と評価者研修を取り入れ、指導の適正化、人材育成を行っている。(H18.4施行)
・ 男女の別なく、意欲・能力のある従業員が指導管理業務に従事している。女性の役職比が80%。なお、昇進・昇格制度は男女平等である。
・ 臨時従業員から正規従業員への登用制度を設け、人事評価と登用試験を平成17年4月採用から実施し、現在まで7人の実績がある。
・ 業務に必要な資格取得に対し、積極的に受験できるように環境を整え、費用助成を行っている。
・ 業務上に関する専門知識、技能習得、自主研修、グループ研修に支援・助成を行う規程を策定した。

●成果
・ 人材育成については、施設内での講習会や勉強会を通して個々のスキルアップを図っている。教育用のカリキュラムを用意し、単位制を導入することで効率よく知識を得られるシステムを構築。それぞれの知識や経験に合わせた受講が可能となっている。
・ 資格取得に関しては、勉強会など取得のためのバックアップはもちろん、取得後にはそれを評価し、手当に反映させている。頑張りに対して相応の評価をすることが、職員のやる気を喚起することに繋がっている。
・ 職員のなかの有資格者の割合は、他施設と比べて高いという。

社内講習会の模様

◎取組み:仕事と家庭の両立支援

・ 次世代育成支援対策推進法による一般事業主行動計画を義務化される以前から策定している。
・ 育児休業期間中の代替要員の確保を行い、育児休業を取得しやすい環境づくりをしている。
 (育児休業は、「子が3歳に達するまで」としている。)
・ 育児休業中の従業員に対し、職場復帰プログラム基本計画を策定し実施している。
・ 休業中の情報提供、復帰前研修を行っている。
・ 結婚・出産・育児等の理由で退職した従業員が就労が可能となり、就業を希望する者の中から再雇用できる
 規則を制定している。(離職後5年以内の従業員を対象)
・ 配偶者の出産時に2日間有給の特別休暇を取得できる。
・ 平成22年4月より子育てや家族の介護をしながら働き続けることが出来る雇用環境を整えることを趣旨として育児休業法、介護休業法、雇用保険法 が改正されたことに伴い、育児・介護休業規定の一部を改定している。
  A)出産後8週間以内に育児休業を父親が取得した場合、特例として再度、育児休業を取得可能とする。
  B)父母がともに育児休業を取得する場合、1歳2ヶ月(現行1歳)までの間に、1年間育児休業を取得可能とする(パパ・ママ育休プラス)
  C)介護のための短期の休暇制度を創設(要介護状態の対象家族が1人であれば年5日2人以上であれば10日)

●成果
・ 育休産休について、現在は取得者はいないが、取得希望者が現れたときには対応する仕組みと準備を整えている。
・ この業種は人の出入りが激しいと言われている。その要因のひとつとして拘束時間の長さがあることを踏まえ、特に激務とされる夜勤の拘束時間を見直した。16時間であったものを8時間とし、身体的な負担を軽減している。
  この施設における離職率は、介護施設の平均と比較してかなり低いというが、これも、働きやすい職場環境が大きく影響しているのではないかとのことだった。
・ 社員の自主性を引き出す施策として、館内のリニューアル時(ロビーと浴場)には職員から意見を吸い上げ、それをほぼ実践するかたちをとってきた。また、施設のロゴデザインも、職員から公募したものを採用している。

◎取組み:男女がともに働きやすい職場づくり

・ セクシャル・ハラスメント防止についての規程を設け、全従業員会議で研修を行っている。
・ 法人内結婚(職場結婚)の場合は、婚姻者の申告を尊重した人事異動を行っている。
・ 平成22年4月1日より時間年休取得制度を取り入れ、年休取得率向上を図っている。

●成果
・ 時間単位で休暇が取れる仕組みとしたことで、取得率が大きく向上した。個人の都合に合わせて休めるといったメリットの他、休んだことによる職場への影響も最小限にできることから、取得率が上がったという分析がある。

◎県民の子育て支援

・ 小学・中学校の職場体験学習を受け入れている。
・ 短大生・大学生の職場体験、実習を受け入れている。

●成果
・ 一般的な職場体験に加え、地元の高校に対しては授業の一環として年間を通じて学習の場を提供。その学生が卒業後に就職するという効果も生んでいる。

 
2013年9月2日