◎「山形いきいき子育て応援企業」登録について
登録日 平成25年1月31日
<登録までの経緯>
総務管理を担当する菅原さんにお話をお聞きしたところ、「山形いきいき子育て応援企業」登録については、登録したことで意識が高まった実感はあったが、取組みについては何か特別なことを行っているという感覚はないと言う。菅原運送では、家庭の事情に合わせた勤務シフトの変更や、長距離ドライバーのお子さんがケガなどで学校から呼び出しがあった際に社の総務担当が学校まで迎えに行くなどの社員への協力を、当たり前のように行っている。「特に規定していなくても、どこでも同じようにやっていると思いますよ」と菅原さんは言うが、そもそも、そう言い切れることが菅原運送の社風なのだ。会社が対応してくれるという安心と信頼があるから、社員は会社を頼り、相談できるのではないだろうか。言い換えれば、みんなが支え合う“お互いさま”という共通認識である。
<男性社員が育児休業を1カ月取得>
そんな菅原運送のトピックが、昨年9月に男性社員の安達さんが1カ月の育児休業を取得したという事実。男性社員で育児休業を取得したのは、安達さんで3人目になる。「子どものため、奥さんのためとか言いますが、自分のためになったというのがいちばん。得たものは大きかったです」と振り返る安達さん。育児休業制度については会社からの情報提供で初めて知ったとのことで、奥様と相談して取得を申請したという。「初めの10日間は何が何だかという感じで、休みも半分ぐらい過ぎてから子どものリズムや家事の勝手が分かってきました。育休を取得しても1週間という人が多いですが、事情が許すなら1カ月をお勧めします」。奥様の大変さを体感し、感謝の気持ちが増したことに加え、「子どもが6ヶ月になるころにお休みをいただきましたが、子どもと1ヶ月間1日中向き合ったことで、育休から仕事に復帰した後も子どもが私に懐くようになりました」と笑う。会社としては、リーダーとして活躍していた安達さんだけに、その穴埋めには相応の苦労や工夫を強いられたという。しかしながら、「引き継いだ社員の成長を見ることができたと思いますし、不在となったことで休んだ本人の評価が上がったという副産的な効果もありました。これからも社員の育児休業取得を推進していきたいと思います。子育てに関わることができる時期は限られていますから」と菅原さんは言う。
<勤務シフトが混在する職場で>
「全社員が顔を合わせる機会が、年間を通しても一度もないんです」。現代の便利な生活を根底で支える物流、すなわち運送業は、まさしく365日24時間体制の仕事。勤務シフトは多岐にわたり、職場では「おはよう」と「さようなら」が1日に何度も交差する。それだけに、社員のコミュニケーションには腐心しているという。新聞を作成し、新入社員や退職者をはじめ、出産、育児、介護といった情報を提供し、相互の理解の促進を図り、チームごとに行われる朝礼でも、会社の規定を周知したり、社員個別の事情を説明。「○○さんだけ休みが多いんじゃないかといった誤解による不満が溜まることがないよう、根気よく伝える努力をしています。今後は、親睦の機会をもっと作っていきたいと考えています」と菅原さんは言う。
◆「女性の活躍推進」における取組み
◎性差なく、能力によって業務分担(女性ドライバーの大型車長距離便の起用など)
・・ 業界全体として大型車や長距離の女性ドライバーが増えているなか、菅原運送でも3名の女性ドライバーが活躍している。大型免許取得をバックアップする背景には、冷蔵車やパワーゲート付きの車の普及などで車両が大型化している現状もあるという。
◎男女問わず、資格取得を奨励し、補助金を支給
・・ より大きなトラックを運転するための大型免許に加え、社として、ドライバー全員に対し、運行管理者資格試験のための講習会への参加を促し知識の習得を推奨している。ドライバーについてはこの資格取得は法定義務ではないが、乗務員の勤務時間、睡眠時間、休憩時間、健康状況などを監督する運行管理者の知識を身に付けることで、より安全な運行へとつなげている。
◆「仕事と生活の両立支援」における取組み
◎子育て、介護が必要な家族のいる社員について、業務の見直しや希望する配送シフトへ変更など、きめ細やかに配慮
・・ 夜勤シフトなど、365日24時間、さまざまな時間帯で業務をこなす運送業。社員には高齢の親と暮らす独身者もおり、親の介護の状況に勤務体系を合わせる必要に迫られるケースもある。そういった申し出に対しては勤務シフトで柔軟に対応。また、たとえば週5日は施設で過ごし、2日間自宅に帰ってくるという介護であれば、休みも連休が取れるよう調整を行っている。
また、受託する業務によって、ドライバーがチームを組んで動くものもあれば、単独で担当するものもあり、それぞれに習得するスキルや把握する業務の流れが異なってくる。会社として、子育てや介護などの事情でシフトを組み直す必然に備え、複数の仕事内容を把握してもらう工夫も行っている。
◎休憩時間は融通の利く設定に
・・ 家族の病院への送り迎えなどに休憩時間を利用できるように、就業規則上では「休憩を○分取得すること」の記載に留めて、休憩開始時刻・終了時刻を明記せず、個々の事情に合わせたローテーションを組めるようにしている。定められた運行上の規程を守りながら、会社も把握した上でフレキシブルな休憩時間設定を認めているというものである。
◎その他子育てに関する様々な状況に社でも協力
・・ 遠距離の配送を担当している社員は、突然の子どもの発熱などで学校から連絡があっても、すぐに帰社することができないことが多い。そういった時には、可能な範囲で社員に代わって会社が対応。安心して仕事ができ、焦った気持ちで運転しなくてすむよう、臨機応変な対応と配慮を徹底している。
◆「県民の子育て支援・若者応援・地域貢献」における取組み
◎地域行事などの際に会社車両を貸出し
・・ 社員がスポ少や学校・子供会行事などに積極的に関わることを目的に、平成22年度に「車両貸出規定」を改定し、学校、園、地域行事などの際に会社車両を使用できることとした。社員が運転し、管理できることを条件に車両貸出を行っている。貸出しを規定に明記したことで、より積極的な利用に繋げられたという。
車両の利用のみならず、地域行事への社員の参加を促す結果となり、家庭内や地域におけるコミュニケーション増進にも成果が現れている。