◎「山形いきいき子育て応援企業」登録について
宣言企業登録 平成21年12月21日
実践(ゴールド)企業認定 平成26年1月31日
<登録までの経緯>
代表の安田さんは山形市内の美容師として勤務したのち独立。現在、ヘアサロン「エクルル」を山形と宮城で9店舗展開し、現役の美容師として店に立ちながら、各店舗をまわって経営者として手腕を発揮する多忙な日々を送る。平成21年の「山形いきいき子育て応援企業」の登録は、従業員が出産を迎えるタイミングも重なり、育児休業をはじめとした各制度を整備する直接のきっかけとなった。もっとも、それ以前から産休・育休という制度に関心があり、「美容師で育児休業を取った人を知らなかったため、行政に制度の確認をしていた矢先のことだったんです」と安田さんは語る。美容師の業界は個人店も多く、育児休業など、なかなか制度として整備しにくいという現状があるなか、多くの従業員を抱える安田さんならではの取組みに注目したい。
<女性の多い職場>
この業界では、従業員はもとより来店する客の女性比率が高いという特徴もある。同社では、これまでに3名の女性スタッフが産休・育休を取得し復帰した実績があり、安田さんによれば「出産の経験や育児の話は、お客様との共通の話題となっているようです。そういう意味でも、産休・育休を利用し復帰してもらったことは、とても意味のあることだったと感じています。また、制度についてスタッフは詳しく知らないので、私がしっかり勉強して、説明するようにしています」自らが各店舗をまわりながら、年に一度は全スタッフが集合して食事会も実施。代表という立場から、日々の円滑なコミュニケーションと、スタッフの近況把握に常に気を配り、日々の業務を行っている。
<美容師業界を変えたい>
「遠い将来になるとは思いますが、美容師の専門学校をつくりたいと考えています。」美容業界で育ち、経営者という立場で業界を見ている安田さんの熱い夢である。そのモチベーションの源泉には、現状を変えたいとの思いがあった。「2年間勉強して資格を取っても、店に入れば、そこから短い人でも1~2年はアシスタントとして働くことになる。その期間を何とかできないかと思って。入店したときに即、お客さんに応対できるスキルを養成できるシステムづくりが必要だと思います。業界として給与や福利厚生面でもまだまだな部分があり、改善の余地が多々あるように感じています」と語る。そこに問題意識を持つことは、従業員がもっと生き生きと働ける職場づくりへのアプローチにほかならないのである。
◎「女性の活躍推進」における取組み
<役職や管理職に女性を登用>
・ 平成22年に、店長として初めて女性を起用した。現在は9店舗の店長すべて女性になっている。店側としても、「お客様の大半が女性ですから、“女性目線”を意識した結果です。男性に比べて女性は仕事と同じくらい家庭も大事にする傾向が大きいように思います。そんな、いい意味でのソフトさを生かしていけたら」とのこと。なお、平成24年には各店舗を取りまとめるマネージャー職に女性を起用した。
◎「仕事と生活の両立支援」における取組み
<男性社員も育児休業を取得>
・ 平成24年に、男性職員が約2週間の育児休業を取得した。子どもがケガをして入院というアクシデントに対応するためだった。比較的忙しくない時期であったこと、県の奨励金制度を活用できることも取得を後押しした。「山形にはいい制度があるなと感心しました。宮城にはなかったですから」という安田さんではあるが、今後の男性の育児休業取得について課題をあげた。「取得により収入が減ることへの本人の不安。手当が出ても全額保障ではないため、本人が希望するかどうかは疑問です。また、休業期間の問題。女性の産休・育休は長期間となるため、配置換えや代替職員の雇用など、相応の対策を施すことができるが、男性が取得する育児休業は期間が短いため、現状の配置のままで代わりのスタッフを考えなくてはならない。経営者としては対応が難しい面があるんです。」
・ 2児の父でもある安田さん。お子さんが小さいときに単身赴任の経験があり、家族とともに過ごす時間の大切さを実感したという。これまで述べたとおり、男性の育児休業取得はなかなか進まない現実はあるとしながら、「できるものなら、父親も子育てに関わっていきたいし、関わらせてあげたい気持ちはあります。せっかくの制度なので、たくさんの人に知って欲しいですね」。
<事情に合わせて短時間勤務制度や、所定外労働時間の免除を実施>
・ お子さんの保育園への送迎の時間を考慮した勤務体系を用意し、それぞれの事情に合わせて、臨機応変な対応をしている。早上がりをする体系では、顧客の予約を遅い時間に受け付けられない場合があるほか、繁忙期にかかるケースでは他のスタッフから不満の声も上がることがあるため、安田さん自らが話を聞きながら、うまくまわるように目を配っている。
<従業員の希望を聞く制度の実施>
・ 各店舗をまわりながら、意見や不満、家庭の事情などを聞き取るようにしているという。面談などの大げさなものではなく、日常の会話のなかでコミュニケーションを図っているという。スタッフにも理解を求め、日々の小さな事柄まで目が届くような配慮も欠かさない。
◎「県民の子育て支援・若者応援・地域貢献」における取組み
<子育て世代を応援する施策>
・ 子育て応援パスポート事業に協賛。子供の日の子供カットを555円に設定するなど、子育ても応援している。