◎「山形いきいき子育て応援企業」登録について
優秀(ダイヤモンド)企業登録 平成27年1月
経営理念
〈Mission〉
「仁」・・・愛と思いやりの医療を提供します
〈Value〉
安全で質の高い医療
誠実で信頼される医療
連携に基づくチーム医療
〈Vision〉
急性期病院として地域医療に貢献します
◎昭和19年、山形済生病院は産声をあげました。
山形市にある『社会福祉法人恩賜財団 済生会山形済生病院』。済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44年に設立し、100年以上に渡る活動をふまえて「済(生活困窮者を救う)」「生(医療で地域の生を守る)」「会(会を挙げ、医療・福祉の切れ目ないサービス)」という3つの目標を掲げ、日本最大の社会福祉法人として40都道府県、371施設で全職員約56,000人が医療や保健、福祉活動を展開している。
山形県では、昭和19年山形市旅篭町に「済生会山形産院」を開設、当時は14床からのスタートであった。後に山形市薬師町や小白川町に新病院建設と共に移転し、平成7年沖町に現在の新病院を設立した。産院からスタートした『社会福祉法人恩賜財団済生会山形済生病院』は、現在も県内トップクラスの分娩数を誇り、県内でも数少ない周産期センターを備える病院である。
◎現在の山形済生病院について
山形済生病院は現在、一般・NICU・ICU・人間ドックにおいて、許可病床数が473床、診療科目は内科や小児科、整形外科、産婦人科など計24科目となっており、県内でも有数の規模を誇る病院である。院内では、医師をはじめ薬剤師、助産師、看護師、臨床検査技師、事務職員など総勢911名のスタッフが医療の現場で活躍している。
◎「公益財団法人日本医療機能評価機構」の認定について
現在、山形済生病院では第三者評価機関である公益財団法人日本医療機能評価機構が実施している病院機能評価で3rdG:Ver1.0の認定を受けている。これは、医療の質、患者対応など一定の水準を満たしていると認められた病院であり、地域に根差し、安心・安全、信頼と納得の得られる医療サービスを提供すべく取り組んでいる病院であると言えます。 5年毎に更新されるこの評価制度は「病院が組織的に医療を提供するための基本的な活動(機能)が適切に実施されているかを評価」する仕組みであり、調査評価者が中立・公平な立場に立って、所定の評価項目に沿って病院の活動を評価する。最近は、患者さんの外来状況から入院、退院までのケアとそのプロセスに沿った医療体制が重要視されるほか、子育て支援などの項目もある。そして、評価の結果から明らかになった課題に対して、病院全体が改善に取り組み、更なる医療の質の向上を図っている。
◎女性の活躍推進~女性を積極的に管理職等に登用している企業~
「山形いきいき子育て応援企業」の認定基準のひとつに、女性の活躍推進がある。現在、山形済生病院の管理職(課長職以上、役員を含む)は全体で53名、うち女性管理職が10名と女性の管理職登用を積極的に行っている。今年4月から副看護部長として活躍する黒沼幸恵さんにお話を伺った。
女性管理職となった現在の率直な感想を訊ねると「無我夢中です」が第一声だった。「看護師として働き始めてから今年で25年になりますが、ここまで働くことができたのは上司の指導やスタッフ、家族の協力の賜物だと思います。今までよりもさらに、地域や院内など全体を把握するように心がけ、患者さんのことはもちろんのこと、若いスタッフが気持ちよく働き続けられるように頑張っていきたいと思っています。そのためにはまず自分が仕事を通じてもっと成長しなくてはならないと感じています」と黒沼さんは語る。
管理職として日々奮闘する黒沼さんに対するご家族の反応を訊ねると、「主人も子ども達も義父も、家族みんなでそれぞれ出来る人が出来ることをしようと協力してくれています。“お互い様”という言葉が好きで、その精神で過ごしています。これは家庭も職場も同じです。例えばスタッフが長期休暇を取る場合でも、快くどうぞと伝える。自分が困ったときには、助けてね、ありがとうと素直に気持ちを伝える、とても大事なことだと思います」と答えてくれた。
女性管理職としていきいきと働く黒沼さんだが、「管理職にならないか」と打診されたときには、大変悩み、3度も辞退を申し出たという。それでも最終的に引き受けたのは、「家族や上司に相談し、話を聞いてもらっているうちに自分ひとりで頑張るのではないと気づいたこと」が大きな理由だと話す。「家族も上司もスタッフも患者さんも、自分を支えてくれていると思ったとき、今一緒にいるスタッフや患者さんのために頑張ろうと決意しました。自分が頑張ると、スタッフも患者さんの笑顔も増えていく。そんな笑顔に出逢ったときが、この仕事をしていて良かったなと思う瞬間です」と黒沼さんは笑顔で話してくれた。
◎院内保育所について
病院の敷地内には、ここに勤務する職員のみが利用できる院内保育所がある。開所から今年で6年目を迎え、定員40名に対し月極保育が32名、予約を含めると今年度分はキャンセル待ちとなるほどの人気だ。夜勤のあるお母さんたちのため週2回の夜間(お泊まり)保育もあり、現在5名の子どもたちが利用している。「当保育所では、仕事が終わってすぐのお迎えではなく、夜勤明けのお母さんたちが少し身体を休めてからお迎えに来ることができるように配慮しています。例えば、園児がお昼寝中の場合はお昼寝が終わるまで、お母さんにはゆっくりしてもらい、その後お迎えに来てくださいねといった感じです。また、夜間保育では家庭的な雰囲気をつくって子どもたちがリラックスして過ごせるように工夫しています」と園長の佐藤さんは話す。
院内保育所開所に至った経緯について人事課の武田さんは「平成11年から子育て中の対象となる職員には保育料の一部補助として“子育て支援手当”を支給していました。そのような中、職員からの声として産休、育休が終わってから安心して預けられる院内保育所の要望が多かったことに加え、山形市内でも徐々に院内保育所を開所する他病院の事例を踏まえ、平成22年に開所しました。院内に保育所があることで安心して働くことができると喜んでいただいています」と話す。
■ 開 所 日:平成22年4月
■ 入園年齢:0歳児~小学校就学前まで
■ 保育種類:月極保育・一時保育
■ 基本保育:7:00~19:00、延長保育19:00~21:00、夜間保育16:00~翌10:00(週2回 毎週火・木曜日)
◎院内保育所を利用する保護者の声
現在、勤続9年目の髙橋由加さんは、医療の現場で助産師として活躍中の「働くママ」で、2歳の女の子と1歳の男の子のお母さんである。長女が1歳8ヶ月、長男が9ヶ月になったときに、院内保育所に預けるようになったそうだ。「既に院内保育所に子どもを預けている同僚がおり、色々な話を聞くことができたので、出産前から心強い情報を得ることができ、安心して子ども達を預けることができました。また、はじめは母親から離れることで、子ども達が泣いてしまうかなと心配しましたが、そんなこともなく子ども達は元気に保育所に通っています。主人も、院内保育所があって良かったと言ってくれています」と髙橋さんは話す。
◎目標管理制度要項~面接時に職員の希望を聞き取る~
山形済生病院では、4月と10月に直属の上司と部下との間で面接を行う「目標管理制度」を導入している。各々が組織や部署での目標をたて、所属長がその目標で頑張ることができるかを本人と話し合い、そして半年から1年でその目標に対して評価を行う。それと同時に看護部では仕事環境や家庭の状況についての「意向調査」もあわせて行いながら様々な相談に応じている。本人のキャリアアップのためのフォローをはじめ、細やかなスタッフとのコミュニケーションにより、家族構成等も考慮しながら産休明けのスタッフの配属先を決めたり、妊娠中のスタッフへは出勤、退勤の時間を30分ずらす時間短縮制度を勧めたり、スタッフが勤務しやすいような環境の整備に取り組んでいる。
看護部長の髙橋さんは「自分一人で悩まずに、色々と相談をしてもらえるよう努めています。子育て中のスタッフには、日曜に子どもを預けられる施設を紹介するなど、スタッフが安心して働けるように、積極的な情報提供を行っています。また、産休明けに今までと違う部署へ配置になる場合は、新しい知識が必要となりますし、また本人自身のキャリアアップを考えれば、常に学ぶ姿勢が重要となってきます。ですが、そのようなことに配慮しつつも、やはり子どもが小さいうちは、子育てに重点を置いてもいいと思っています。その時々で、何を優先するのかを考えることが大切です。一人で考え、落ち込んでしまうと、色々な方法があるのに分らなくなってしまいがちですから、私達が積極的に話を聞き、色々な道があることを伝え、少しでもサポートできるよう努めています」と話す。
◎職場の環境づくりについて
院内では「セクシャルハラスメント」や「パワーハラスメント」の防止相談窓口を設けて取り組んでいる。人事課課長代理の武田さんは、男女ともに働きやすい職場づくりに関して、「職員一人ひとりの意識づけが大切だと考え、パンフレットで院内周知を図っています。また、済生会はコンプライアンスの一環としてハラスメントに対して組織的に取り組む事としています。就業規則にも明記するなど、医療の現場で働く者としてしっかりと考えて行動していくよう体制を整えています」と話す。
◎「山形いきいき子育て応援企業 優秀(ダイヤモンド)企業」として、さらに考えていること、これからの働き方について
山形済生病院では、産前休暇の期間を法律で定められている6週間以上の8週間としている。法定以上の制度を導入したきっかけについて人事課の武田さんは「導入の時期は、40年位前からでした。今では産前休暇8週間というのが当院では当たり前になっています。また、女性が多く活躍している職場ですので常に20~30人が産休・育休をとっている状況です」と話す。こういった手厚い制度と職員一人ひとりがお互い様の精神を持つことで、安心して子育てができ、職場復帰しやすい環境ができているのだろう。また、休日についても現状では、年間126日間の休日がある。さらに、看護部では有給休暇とリフレッシュ休暇を合わせて連続10日間の長期休暇を取るなど、スタッフ皆、協力しあいながら休みをとれるように配慮している。このように、現在、既に働きやすい職場づくりに積極的に取り組んでいる山形済生病院だが、さらに職員がいきいきと働きやすい職場環境を実現するため、「これからの課題は、スタッフのキャリアアップのための研修システムのさらなる充実に加え、病院目標としてスタッフが働きやすい環境をテーマとし、有給休暇の取得率を上げるように取り組んでいきたいです。また、残業時間を減らすなどWLBを推進していきたいですね」と武田さんは語った。