女性83名 男性398名(合計481名)
AGCディスプレイグラス米沢株式会社(代表取締役社長 三谷 孝)は、米沢市の八幡原中核工業団地内にあり、平成元年11月創業。82,000㎡の敷地に、第1、第2、第3工場がある。
同社は、旭硝子株式会社(本社東京都)と一体となって研究・技術開発を進め、主にフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板を製造している。また、新規事業として、カーナビゲーションなどの車載ディスプレイに使われるカバーガラスも製造している。
◎「山形いきいき子育て応援企業」認定について
優秀(ダイヤモンド)企業 認定 平成27年3月
◎ADYビジョン
◎仕事と家庭の両立(ワーク・ライフ・バランス)について
AGCディスプレイグラス米沢株式会社は、平成25年に厚生労働省の「子育てサポート企業」としてくるみんマークの認定を受け、平成27年3月に山形いきいき子育て応援企業「優秀(ダイヤモンド)企業」の認定を受けている。特に力を入れている取組みについて事務部総務課の主任鶴巻康子さんに聞いた。
「社員の育児・介護に関する休暇取得については、会社としても支援していきたいと思っています。そのため、子の看護休暇制度については、子1人の場合は1年間につき7日間、2人以上の場合は、1年間につき14日取得できるとし、法定より2日~4日上回る規程を設けています。介護休暇制度についても同様です。
子の看護休暇制度は平成19年に導入し、平成24年から法定を上回る規程を設けました。子どもが体調をくずすのは突発的ですし、子どもが病気がちで、年次有給休暇の取得だけでは日数が足りず、欠勤になる社員もいました。欠勤することで、周囲に迷惑をかけないかストレスに感じる人もいます。そのようなストレスを軽減したいという思いで、子の看護休暇の日数を増やしました。法定以上の日数としたことで、社員も安心して働くことができていると思います。
また、平成20年より育児短縮勤務制度を導入しました。当社では、育児休業を「育児休職」と呼んでいますが、育児休職から復職後、子どもが小学校に入学するまでこの制度を利用できます。勤務時間は、30分単位で1日最長2時間30分まで短縮することができます。小さい子どもがいると保育園の送り出しがありますので、出勤時間を遅くできるのはとても助かると好評です。
また、育児や介護に関する休暇制度の一覧や産休中の社会保険料免除、育児休職中の収入など関心の高い事柄については、興味のある社員がいつでも確認できるよう社内のホームページに掲載しています。社員が育児や介護に関する休暇を取得するきっかけになればと思っています。
社員の年次有給休暇取得率については、部課長会議で定期的に報告しており、平成27年度は全社平均82.6%の取得率となりました。その他、定時で退社する所定外労働の免除や深夜就業免除などの規程を設けています。社員が働きやすい環境を整えるツールとして制度を充実し、社員のワーク・ライフ・バランスの推進を図っています。」
◎社員の声を反映させた制度作り
社員のワーク・ライフ・バランス推進のため大切にしていることや今後の方向性について聞いた。
「常に社員のニーズを把握、確認するよう心がけています。今年度より『子の看護休暇』と『介護休暇』については半日単位で取得できるようにしましたが、これも社員から要望があり、実現したものです。
長い職業生活の中では、多くの方が育児や介護に携わることになりますが、育児や介護を理由とした離職はできるだけ減らしたいと思っています。そのため、社員が、より心地よく働くことのできる雰囲気づくりに努め、休暇の取得を支援して、社員のパフォーマンスを最大限に引き出せる環境を作りたいと思っています。」と鶴巻主任は力強く思いを語った。
◎男女ともに働きやすい環境づくりのために
正社員登用制度やセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントに対する取組みについて聞いた。
「平成23年より正社員登用制度を導入しています。この制度は、仕事に一層前向きに取り組むことができる環境を整えるため設けました。年2回(7月と12月)試験を実施しており、これまで26名の実績があります。有期契約社員でも、正社員登用のチャンスがありますので、社員のモチベーションアップにつながっています。
また、ハラスメント対策も重要と考えています。行動基準を設け冊子を全社員に配布し誓約書の提出をしてもらっています。行動基準には、パワーハラスメントを含むハラスメントについても全社員が守るべきことを定めています。
特にセクシュアルハラスメントについては、防止規程と専用相談窓口を設けており、社内のホームページで社員がいつでも閲覧できるようになっています。
セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントを含む各種相談については、社内で発言しにくいこともあるかと思いますので、電話による相談の他、メールでの相談も受け付けています。」
◎育児休職制度を利用して女性の大変さを実感
CSR室室長の菅野富士弥さんは、平成10年に入社し、勤続18年目。CSRとは、企業の社会的責任のことで、菅野室長の部署では、社内の環境や安全、保安に関する統括業務や改善活動の事務局としての役割を担っている。菅野室長は妻と3人の子どもの5人暮らし。今年3月末から2週間の育児休職を取得した感想について聞いた。
「今年3月に3人目の子どもが生まれました。上2人の子の時は里帰り出産しましたが、今回は2番目の子どもが小学校に入学するタイミングで、里帰り出産ができませんでした。また、妻も自分も両親が遠くに住んでいるため、サポートを受けることもできない状態だったので、妻が出産で身動きが取れない間、上の2人の子どもの面倒をみようと育児休職を決意しました。
育児休職の際は、上司や部下に理解いただき、仕事面ではきっちりとバックアップしてもらったため、育児に専念できました。育児休職を取得して、妻からはとても感謝されました。これまで上の子ども2人については、妻に任せっぱなしでしたが、妻も両親に子どもの面倒をみてもらうより、自分の方が何でも気楽に頼めたと言っていました。育児休職中は子どもが春休みだったので、家にばかりいると妻も生まれた子どもも落ち着かないと思い、毎日のように近くの公園で上の子ども達と遊びました。育児休職を取得してよかったのは、普段の妻の大変さを実感できたことです。食器洗いや掃除、洗濯など普段は行いませんが、やってみると思ったよりも時間がかかり、自分の時間は全くありませんでした。子育てや家事と両立している女性社員の苦労を実感しました。
2週間の休職でしたが、仕事には抵抗なく戻ることができました。復帰後も定時退社を宣言し、周囲の協力を得て実行できています。職場には、自分よりもお父さん、お母さんの経験が長い方が多いので、苦労を分かって気遣ってくださっているのかなと思います。
両親が離れており、協力が得られにくいので、今後も、家庭を優先にしながら仕事もきっちりやっていきたいです。
男性は、育児や家事を妻に任せがちになってしまうと思います。育児休職を取ってその大変さを実感することもいいと思います。」と、育児休職取得の意義と周囲への感謝の言葉を口にした。
◎液肥の無料配布で地域に貢献
CSR室では、社員食堂から出る生ゴミを有効活用して「ゼロ・エミッション」につなげようという取組みを実施している。最後に、その思いについて聞いた。
「食堂から排出した生ゴミを液肥に再生して、地域の方へ無料で配布しています。この取組みは、ごみ排出ゼロを目指して実施しているものです。毎年4月中旬から準備し、5月のゴールデンウィーク前頃から無料配布します。毎年取りに来ていただいている農家さんもいて好評をいただいています。また、工業団地内の中央分離帯の花壇にも使っていただいています。社員でも家庭菜園をしている方や兼業農家の方もいるので配布していますが、再生した液肥はできるだけ効率よく配りきりたいと工夫しています。生ゴミの排出量を減らしながらも、排出されるすべてを有効活用していくことが重要だと思います。生ゴミをゼロにしたら困る農家さんもいるかも知れませんけどね。」と、菅野さんは笑顔で話をしてくれた。