やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第55回 日新製薬株式会社

従業員数(2017年3月末現在)
女性413名 男性433名(合計846名)

日新製薬株式会社(代表取締役 大石 俊樹)は1957年に設立し、ジェネリック医薬品を中心とした医薬品の研究開発と製造を行っている。本社は山形県天童市にあり、他に東京事務所、天童市荒谷工場、埼玉県川越工場を持つ。
また、医薬品開発の高度な技術と地域に根ざした社会貢献活動から、平成22年に「グッドカンパニー賞」グランプリを受賞し、他にも社会貢献や開発に関する数々の賞を受賞している。

◎「山形いきいき子育て応援企業」登録・認定について

優秀(ダイヤモンド)企業認定 平成28年7月29日

◎企業理念

患者さんや医療関係者に、信頼できる医薬品を、心を込めて供給するために、技術を学び、最新設備を導入し、製剤設計、品質管理、品質保証に真剣に取り組んでいます。医薬品の根幹は品質であり包装も供給もまた品質であること、品質は社員一人ひとりの意識がつくること、私たちは健康に貢献できること、健康と命に責任があることを、社員一人ひとりの心に留めています。医療費負担増、少子高齢化、社会保障財政の逼迫・・・今必要とされているジェネリック医薬品や、製造を受託する医薬品を、信頼できる医薬品として供給することで医療に貢献しております。(代表取締役 大石 俊樹)

◎今後の経営方針

厚生労働省では、後発医薬品であるジェネリック医薬品の利用促進のため、平成32年度末までのなるべく早い時期に、数量シェア割合を80%以上にする目標を立てている(現在の割合は66.4%)。この方針を受け、同社では設備の充実や人材の増強などに取組み、今後増加が見込まれるニーズに対応できるような体制づくりを進めていくこととしている。

◎従業員のライフプランを尊重できる体制づくり

日新製薬株式会社では、1957年の創業以来、社員の要望を柔軟に制度に取り入れることで働きやすい職場づくりに取り組んできた。その結果、女性は出産、子育てのライフステージを迎えると、育児休業を1年間取得し、また元の職場に戻るというスタイルが社内に定着している。さらには時間単位の有給休暇制度も設けていて、子育て中の社員が子どもの学校行事や通院などで利用しているケースも多い。

同社の職場環境について、
「弊社では社員もパート社員も、同じように育児休業を取得できるので、個人のライフプランにあわせて休業・休暇を取得しやすい職場環境になっていると思います。また、育児休業を取得中の社員がいる場合は、臨時のスタッフを補充したり、チーム内で協力し合って休業者の仕事をカバーすることで、休業後は育児休業取得者が元の職場に戻ることができるようにしています。弊社の育児休業の取得率は女性が100%に対して男性はまだ取得例がないので、今後は男性社員にも積極的に声がけをしていく予定です。」
と総務部総務課の櫻井由美子さんは語る。

【総務部総務課 櫻井 由美子さん】

◎キャリアアップに性別は関係ない

日新製薬株式会社において男女の差がないのは社員数(女性413名、男性433名)だけではなく、管理職への登用や業務評価に関する考え方も同じという。同社では性別に関係なく、能力があれば管理職へと積極的に登用し、さらには社内ではなかなか学べない管理職の心得や知識などに関しては外部セミナーを積極的に活用しており、そうして育った人材が、やがて後輩社員のモデルになるという好循環ができている。
「正社員への転換も、業務評価をもとに行っています。今年度はパート社員から準社員に7名、準社員から正社員に2名、合計9名が雇用転換し、そのうち8名は女性社員でした。仕事に励んだ分だけ評価してもらえる評価体制があることで、社員のモチベーションの向上にもつながっているようです。」(櫻井さん)

【職場の様子】

◎地域に還元する「社会貢献活動」

事業で生まれた利益を、地域に還元する形の社会貢献活動にも力を入れて取り組んでいる。
本社のある天童市には、毎年寄付を行っており、天童市ではその寄付をもとに「日新製薬教育振興基金」を設立し、学校教育の資材や学習サポーターの設置など、子ども達の学びに寄与する事業に活用されている。
また、平成23年4月から荘内銀行とともに山形県野球場(中山町)のネーミングライツスポンサーとなり、平成28年3月にはきらやか銀行とタイアップして「きらやか日新公益財団」を設立。大学進学を志しながらも経済的に困難な状況にある生徒を対象に、返済の必要がない入学資金の助成を行っている。
さらに、文化や芸術活動を支援する「メセナ活動」の一環として、平成28年から毎年1回「日新製薬プレゼンツ 山形交響楽団サンクスコンサート」を天童市市民文化会館にて開催し、1,000人以上を無料で招待することで、クラシック音楽との触れ合いの場を提供している。
「天童市ではクラシック音楽のコンサートに触れ合える機会が多くはありませんでした。そんな中、『普段からお世話になっている天童市でコンサートを開催することに意味がある』という社長の提案から取組みが始まりました。社員の私たちも、こういう形で地域の役に立てると思うと、ますます仕事に励もうという気持ちになります。」(櫻井さん)

【山形県野球場ネーミングライツ 施設命名権限協定書締結式】
【日新製薬プレゼンツ 山形交響楽団サンクスコンサート】

◎育児短時間勤務制度で子どもとの関わりに余裕を

本社工場に勤務し、二児の母であるAさんは、出産時に育児休業を1年間取得した後も、元の職場に復帰し勤務を続けている。しかし、子どもが成長するにつれ、育児や家事と仕事の両立に限界を感じ、悩んだという。
「幼稚園の持ち物を準備したり、小学校に通う子の宿題を見てあげたりと、帰ってからもやることがたくさんで、時間的な負担を感じていました。仕事を続けるのはもう無理かと思った時期もありました。」
社内規定に育児短時間勤務制度があることを知ったAさんは職場に相談し、これまでの8時間勤務から2時間少ない6時間勤務へと切り替えた。夕方から夜にかけての2時間は子どもとの関わりや買い物、夕食の支度などにあてられる貴重な時間となった。
「育児短時間勤務を利用することで、時間にも余裕ができ、子どもに対しても余裕をもって接してあげられるようになりました。また、子どもの習い事も送迎が難しいという理由から諦めようと思っていましたが、制度を利用することで通わせることができ、本当に助かっています。これから出産、育児をされる方も、決して一人で抱え込まずに、どんどん周囲に打ち明けて相談することで、解決策が見つかるのではと思います。」

◎作業の効率化とチームワークで女性も働き続けられる職場へ

日新製薬株式会社の女性課長職の先駆けである松田純子さんは、現在勤続23年目で企画開発部開発課の課長を務めている。同課は医薬品の企画開発と委受託の窓口などが主な業務で、新製品の開発など会社の経営を左右する重要な役割を担っている。
「現在は会社も大きくなり、部下に仕事を任せられるようになりましたが、以前は社員が少なく、すべて自分でしなければならない状況だったので、私が子育てを行った時は家族の協力を得て何とか乗り切った感じでした。」
松田さんは、そのような経験を経て、社員一人ひとりの負担を軽減するために、社員の増強と作業の効率化を会社に働きかけ、“女性社員が辞めなくてもいい作業効率化”を図った。会社側もそれを受け止め、改善へと向かったという。
「女性はどうしても、早く帰らなければいけなかったり育児休業が必要だったりという時期があります。そういう時に対応するため、チームで仕事をする形へと変えていきました。情報を共有し、『誰かがいなくても他の誰かが対応できる』、そういうチーム作りを目指しています。これから管理職になる人も、目先の忙しさだけにとらわれずに、2年先、5年先を見越して後輩に大切なことを伝えていき、今後の弊社を担う人材育成を頑張って欲しいと思っています。」

【企画開発部開発課 課長 松田 純子さん】

◎事業所内保育所「しょうげほいくしょ」を活用

日新製薬株式会社では、平成27年に事業所内保育所「しょうげほいくしょ」を開設した。当保育所の開設は、会社の近くに保育園がなかったことから、社長が子育て中の社員が働きやすいようにと発案したのがきっかけだという。保育所には一般の利用者も含め、0歳児から未就学児が常時20人程度在籍し、一時保育にも対応。加えて、社員であれば、入園料無料、保育料の割引などの特典を受けられる。

【事業所内保育所「しょうげほいくしょ」の様子】

本社工場製造第1部包装第1課の係長を務める野川良嗣さんは、薬品の包装、箱詰めを中心とした業務に就いている。約2年前に子どもが生まれ、生後6ヶ月の頃から事業所内の保育所「しょうげほいくしょ」を利用している。
「最初は初めて預けるので不安もありましたが、保育所にはビデオカメラが設置してあり、スマートフォンでいつでも子どもの様子を確認できるので、安心できました。子どもの体調が悪くなった時にもすぐ駆けつけられるので、距離が近いというのはとてもありがたいですし、妻が不規則な働き方なので、時間的な融通が利くというのも助かっています。」
我が子と一緒に出社し、一緒に退社する。そういった日常の中で、子どもへの想いも一層深まる、という野川さん。子どもが生まれる前は『子どもの顔を見ると疲れが吹っ飛ぶ』と聞いても「そんな訳ないだろう」と思っていたそうだが、実際に育児を経験してみて、「そのとおりでしたね。迎えに行くと、一目散に子どもが走ってくるんです。独身生活では得られなかった感情です。子どもが生まれると、そういう楽しみがあるので、ぜひ独身男性社員のみなさんにも、この楽しみを感じてほしいです。」と野川さんは笑顔で語った。

【本社工場製造第1部包装第1課 係長 野川 良嗣さん】
 
2017年5月1日