やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第53回 東舗工業株式会社

従業員数(2016年11月現在)
女性3名 男性18名(合計21名)

女性3名 男性18名(合計21名)

東舗工業株式会社(代表取締役社長 鈴木 秀治)は平成6年に設立後、平成25年4月に新庄市内の中核工業団地に新社屋を竣工し現在に至る。
同社は、一般土木と舗装工事を主要事業とし、県内だけでなく東北一円を対象に高速道路などの公共道路や施設等の工事、施工を行っている。近年は、スーパーなどの大型駐車場や一般家屋の家周りのアスファルト舗装など幅広く事業を展開している。従業員のほぼ全員が工事関係の資格を有し、また平均年齢は35歳程度と若く、機動力と即戦力を強みとしている。

◎「山形いきいき子育て応援企業」について

実践(ゴールド)企業 認定  平成25年3月

◎基本理念

「地域に貢献する企業でありたい」と、できるだけ良い材料を使って、短期間で仕上げ、顧客が満足できることを常に考えて仕事をするよう心掛けている。

◎今後の展望

市街地から市内の中核工業団地への移転により、敷地も社屋も大きくなり、社員数も増やした。これを飛躍の機会と捉え、これからも会社の規模を大きくしていきたい。女性をさらに5,6人雇い入れれば、女性の発想を活かした施工も可能になるのではないかと考えている。

【総務部 部長 鈴木 さつきさん】

◎「男女ともに働きやすい環境づくり」という視点を大切に

東舗工業株式会社は、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、平成25年3月には「山形いきいき子育て応援企業」の実践(ゴールド)企業に認定された。その経緯について、総務部長の鈴木さつきさんに聞いた。
「社員間の会話を大切にしながら、アットホームで何でも相談しやすい環境づくりに取り組んできましたが、会社をもっと良くするにはどうしたらいいか模索していた中で、国が新しい制度を始めたと聞いて、チャレンジしようと、行動計画の策定に至りました。」
昨年、女性活躍推進法が成立し、近年、男性の多い工事現場においても女性の活躍が注目されている。そこで、鈴木さんに現場に出ている女性社員も働きやすい環境づくりとして大切にしていることを聞いた。
「工事関係の会社なので、男性が多く女性ならではの悩みもありますが、男性も女性も働きやすい環境にすることを心がけています。まずは、現場ではトイレの問題がありました。当社は工期が短く現場に固定トイレを設置することが難しいので、現在はトイレカーをレンタルして対応していますが、いずれは自社でトイレカーを導入したいと考えています。また、雪の多い冬は、県内では舗装工事の受注がなく、県外での仕事が多くなりますが、女性社員を同行させることについて不安があります。もっと女性社員が増えれば、女性社員でまとまって出張ができるのではと考えています。また、新社屋移転を機に事務所内を禁煙にした分煙化が4年目を迎え、作業効率が上がってきていると実感しています。引き続き社内環境の快適化に努めていきたいと思います。」

◎女性の少ない建設業での女性社員の活躍推進のために

工事現場において女性は体力面で不利な点が多い。しかし、東舗工業株式会社では、技術系の分野への女性の積極的な登用を推進している。どのように活躍の場を創出しているかを聞いた。
「スコップを使った業務では相当の体力を要し、女性にとっては厳しい労働となりますが、重機などの運転を担当してもらうことで工事の第一線で働くことも可能です。そのためにも中型や大型特殊自動車の免許取得や、機械のオペレーターになるための車両やローラーなどの資格取得に力を入れています。また、建設業で重要な資格である土木施工管理技士の資格取得にも力を注いでいます。現在、女性社員のうち1名は2級を取得し、もう1名も1・2年のうちには土木施工管理技士の資格を取得できる見込みです。彼女は現在、研修会や社内勉強会に参加するなど頑張っていて、会社として資格取得のための費用の負担も行っています。土木施工管理技士の資格を取得すれば現場管理者として責任も重くなりますが、仕事の楽しみとやりがいも高まり、さらに安全で確かな仕事にもつながると考えています。資格を取得することで社員のレベルアップと同時に、有資格者の多い当社において全社員が対等に仕事をできるようにしていきたいと考えています。」

◎仕事と家庭の両立(ワーク・ライフ・バランス)について

東舗工業株式会社では、平成24年から25年にかけて男性の舗装施工の経験者が6名入社したことで仕事に余裕が生まれ、同時にワーク・ライフ・バランスを推進するきっかけとなり、有給休暇の取得率が大きく向上した。総務部長の鈴木さんが育児をしていた頃は、会社の配慮で仕事と育児をバランスよくできたため育児休業は利用しなかったとのことだが、将来的には社員が利用する機会が見込まれる。そこで会社としてワーク・ライフ・バランスをより推進していく重要性について、鈴木さんに聞いた。
「例えば、子どもの学校行事やクラブ活動などで親が協力しなければならない場面がありますので、有給休暇が希望どおり取得できるように、現場での作業を調整するなど対応しています。業務の状況次第では調整が難しい場合もありますが、声掛けをするなど工夫しながら取り組んでいます。例えば、出産予定日が近い家族がいる社員に対してはすぐに病院へ駆けつけられるように、できるだけ当社から近い現場で仕事をしてもらっています。また、育児休業制度については、若い女性社員がおりますので、利用する機会があれば遠慮しないで取得してほしいと思います。せっかく取得した資格を無駄にしないように、出産・育児などによる休業後も、継続して活躍できるようにサポートしていきたいと思っています。彼女達がそのいいモデルになることを期待したいですね。ワーク・ライフ・バランスの取り組みについては、まだ計画中の部分もありますが、例えば社員の子どもを招待し、お父さんお母さんの仕事を見て知ってもらう参観日をしてみようという計画があります。」

【工務部 齊藤 梓さん】

◎将来は生活も仕事も満足できるよう制度を利用したい。

工務部の齊藤梓さんは、高校の土木科を卒業し平成24年に入社した。入社後は大型自動車第一種免許、車両系建設機械、ローラー運転、安全衛生職長教育等の資格を取得し、現在は重機のオペレーターとして活躍している。さらに平成28年3月に2級土木施工管理技士の国家試験に合格し、現場管理の実績づくりに励んでいる。日頃の活躍や働く女性としての今後について聞いた。
「高校では2級土木施工の資格が取れたので、その資格を活かすために入社しました。ほとんどが男性という職場でしたが、自分としては違和感なく入ることができました。会社には若い人が多く、みんな元気でいきいきとしていて、同じ仲間といった気持で楽しく働いています。しかし、現場が忙しくなると整理整頓ができていない場合があるので、私が細部に目を配り率先して行っています。また、6月から7月にかけて仕事後に新庄祭りの山車作りをしているのですが、次の日の仕事に影響しないように夜遅までの作業は控えめにするようにしています。結婚など将来に向けては、生活あっての仕事、仕事あっての生活という考えで、皆が働きやすい職場づくりのための制度をお互いに理解し利用していければいいなと思います。」

【工事部 佐藤 礼奈さん】

◎仕事と生活を両立しながら、充実した生活となるように

工事部の佐藤礼奈さんは、齊藤さんと同じ高校の土木科を卒業し、平成27年に入社した。ローラー運転の資格を取得し1年間現場の作業に従事したが、現場管理に興味を持ち、4月から見習いとしてカメラ片手に現場管理業務に従事している。建設業という男性の多い現場で働く中で感じていることなどを聞いた。
「今は施工状況を撮影したり、スコップを手にしたりして現場管理の手伝いをしています。1年働いてみて、元気な会社だなという印象です。自分の仕事が終わった後でも他の現場が終わっていなければフォローするというように、常に周りのことや次のことを考えて声を掛け合いながら、みんなが一つになって仕事をしています。男性には力ではどうしても負けてしまうので、男性が気の付かないところを女性ならではの気づかいでサポートできるよう意識しながら作業しています。現場で一番困るのはトイレですが、会社の方で考えてくれているトイレカーが実現すれば、女性だけでなく男性ももっと安心して働きやすくなると思います。また、地元の新庄祭りなど地域の行事に合わせて休む時でも、会社や上司の理解があるので、祭りの役に就いている方や学校が休みになる子供のいる社員にとっては、休みやすく助かっていると思います。将来のことは、仕事と家庭がうまく両立できて自分も充実した生活ができれば、それが一番かなと思います。」

東舗工業株式会社では、新庄祭りなどの地域行事に合わせて休暇を設け、企業の年間カレンダーを作成するなど、ユニークな取組みを実施している。こうした企業独自の取組みで、女性の少ない建設業での女性の活躍推進をリードしていくことが期待される。

 
2017年1月4日