女性11名 男性91名(合計102名)
林建設工業株式会社(代表取締役社長 林 浩一郎)は、土木・建築・住宅などの総合建設業として、1919年の創業以来、「誠実で確実な仕事」をモットーに、地域の発展に貢献してきた。また、新しい事業にも積極的に取り組み、約2年前からは太陽光発電所の運用も開始している。
◎「山形いきいき子育て応援企業」登録・認定について
優秀(ダイヤモンド)企業認定 平成29年1月31日
◎企業理念
「人材は何ほどにもまして会社や地域の宝である」と私は常日頃から考えております。会社は人材育成の場であり、その人材は地域や会社の発展に寄与することができます。当社は社員の人材育成を通し地域に貢献してまいります。
また、当社では人材育成の一環として、新たな事業や技術への積極的な取り組みを推進しております。常に新しい事へチャレンジすることにより社員のレベルアップを図り、変化を恐れない社風を作り上げて参ります。(代表取締役社長 林 浩一郎)
◎今後の展望
建設業という職業柄、まだまだ働く女性の数は少ないが、性別を問わず活躍できる仕事も多々あるため、積極的に女性を雇用する方針である。また、長い実務経験を持つ高齢労働者が働きやすい環境を整え、若い世代に技術を継承する場を提供していくことも、これからの時代は必要不可欠と考えている。
◎「山形いきいき子育て応援企業総合支援事業」の奨励金の活用について
林建設工業株式会社は、現社長が6代目を務める老舗企業であり、時代の移り変わりと共に、「働きやすい職場づくり」を推し進めてきた。また、出産・子育て中の働き方や女性の活躍推進についても、社内で協議を重ね、可能なものから取り組んでいくうちに、山形いきいき子育て応援企業の認定基準をクリアし「優秀(ダイヤモンド)企業」の認定に至った。さらに、女性を役職に登用した際や男性社員が育児休業を取得した際には同制度の奨励金を利用するなど、県の制度を活用しながら取り組みを推し進めている。
取締役の齊藤修一さんは、
「仕事と家庭の両立という大きなテーマの中で、弊社は現在どのような状況なのかを見据え、できるところから改善していきました。企業理念にもある通り、弊社には『人を大事にする』という考え方の基盤がもともとあったため、思いのほか容易に取り組むことができました。」と語る。
◎女性活躍推進法に基づく事業主行動計画を策定したきっかけ
「働きやすい職場づくり」を進める中で、課題となったのが、「女性の就業希望がなかなか得られない」、「有給休暇の取得率が低い」などがあった。有給休暇の取得については、以前より各部署で目標をもって実践していたが、取得率向上ために社内で部署毎の取得状況を公開しながら実施してみようと考え、行動計画を策定し、平成28年9月から計画に沿って取り組んでいる。その結果、有給休暇取得率は会社全体で30%以上まで向上した。
「支援制度があっても誰も利用しなければ意味がありません。利用しやすい環境にするために、今まさにその取り組みを行っているところです。弊社が『働きやすい』、『女性も活躍できる』、『仕事と家庭の両立ができる』と言われるような会社にしていきたいです。」(齊藤さん)
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画では、女性技術者の採用についても目標を定め、女性の新卒採用に向けて、リーフレットを作成し、各学校へ配布をするなどの取り組みを行っている。
「男性主体の仕事場に女性が入ってくることで、職場全体の意識が変わり、働き方の見直しが進むのではないかと考えています。そのためにも『女性も建設業界で働ける、活躍できる』ということを、能動的に公開していくことが大切だと思い、ホームページなども活用して広報しています。」と齊藤さんは語る。
リーフレットの詳細を見る時は、こちらをクリック。
◎仕事と家庭の両立の制度を支える経営基盤
林建設工業株式会社では、法律や制度の制定・改正に伴い、社内の制度も柔軟に変えていき、また、新たな規程や規則は、社内報やイントラネットに掲載すると共に、社員研修などで社員に伝達している。
「新しい法律や制度に対応していくために、一番の基本になるのは『強い会社であること』ということです。経営状態が良くなければ、手厚い制度は作れませんので、多少の不景気にも左右されずに経営をしっかりと行っていきながら、会社のルールを作り、そして時代に合わせて改正していく。その繰り返しが重要だと思います。」(齊藤さん)
また、会社が継続するために必要なことは、新卒社員の採用だと齊藤さんは語る。採用を怠らず、教育を怠らないことで、時代にあった社風が築かれる。
「繋いでいくことにより、仕事と家庭の両立など、時代にあった制度ができていくのだと思います。どこかで途切れてしまうと、その時代の流れに乗ることが大変になってしまう。特別に何かしようというのではなく、企業として取り組むべき各法律や、国、県、市町村の政策を社内で形にして、それを活用できるようにしていく。そこが一番大切なんだと思います。」(齊藤さん)
◎働きやすい職場づくりを目指して
同社では働きやすい職場づくりのために「正社員転換制度」や「自己啓発助成制度」を設けている。正社員転換制度は一定の基準を満たした契約社員を正社員に雇用転換する制度で、同社では以前は契約社員だった人でも現在は正社員として働いている人がいる。「自己啓発助成制度」は社員のスキルアップを目的とした制度で、技術的な資格のように会社で取得を促すものの他にも、自主的に「この資格を取りたい、学びたい」という申し出があれば積極的に受け入れ、技術向上の機会を提供している。
一方で、同社は技術系の社員が約9割を占め、仕事に意欲的な社員が多い。そのため、仕事と家庭の両立という視点から、社員が家庭に関わっていく時間をどのように作っていくかが今後の課題だという。
◎育児休業を取得して
建築部の係長を務める志賀誠さんは、工事現場の現場代理人として工程、品質、安全の管理、及び発注者対応を中心に、部下の業務フロー等も含めて幅広く業務を行っている。
約1年半前、第2子が誕生したことがきっかけで育児休業を利用した。それまで建築部では、男性社員の育児休業の取得は前例がなかったが、会社から制度の利用を勧められ、7日間の育児休業を取得した。
「1人目が産まれた時は、仕事が忙しく、なかなか家族と過ごす時間が持てなかったので、2人目が産まれた時には育児休業制度を利用しました。制度を利用し、子どもと過ごす時間を長く持つことができたことで、子どもの表情も明るくなったと感じています。また、子どもをおんぶしながらの掃除や食事の準備などの家事を経験したことで、子育てと家事を両立することの大変さも知りました。今でも、早く帰宅した時には子どもと一緒にお風呂に入ったりして、一緒に過ごす時間を楽しんでいます。」(志賀さん)
◎短時間勤務を利用して、育児も家事もゆとりを持つことができた
工務部で事務を担当している田村千代さんは、現在、三児の母。2人目、3人目の出産時に、産前産後休暇と約1年の育児休業をそれぞれ取得し、さらに2人目を出産し職場復帰した際には、育児短時間勤務制度を利用した。
「育児短時間勤務制度を利用したのは、2人の子育てや家事と仕事の両立がうまくいかずに会社を辞めることも考えていた時、家族から勤務時間を少し短くして働けないかと言われて会社へ相談したところ、短時間勤務制度を勧められたことがきっかけでした。」(田村さん)
田村さんは、育児短時間勤務制度を利用し朝の出勤時間を1時間遅くしてもらうことで、余裕を持ちながら保育園の準備などができるようになった。同制度のおかげで精神的にも楽になり、本当に助けられたと話す。
現在は3人目の子どもが1歳になったばかりと、まだまだ大変な時期ではあるが、田村さんも田村さんの家族も育児に慣れてきたため、通常の勤務時間で働いている。
「時間のやりくりが大変な時やうまくいかないと感じた時は、会社や周囲の人に相談して、育児短時間勤務や育児休業などの制度を上手に利用してほしいと思います。子どもの一番かわいい時間を一緒に過ごせるのが、やっぱりいいですね。」と田村さんは語る。
◎初の女性役職として
総務部で係長を務める堀口和枝さんは、経理、給与計算、社内行事の企画・実施など、幅広い業務のとりまとめを行っている。係長職には2年前に就任し、部署内では女性2人と男性1人の3人の部下を持っている。
同社で初の女性の役職に就いた堀口さんだが、役職に登用された後の働き方について訊ねてみると、「役職についたからといって、勤務時間などの働き方は変わらないように努力しています。そのこともあってか、家族は何も言わずに見守ってくれています。」と堀口さんは話す。
普段の業務においては、社内に活かせるものは積極的に取り入れていきたいと考え、日々模索しながら制度導入の提案などをしてきたという。
「これからは男性も女性も、仕事をしながら、家事や育児・介護をしていく時代になります。仕事と家庭の両立は、今まで以上に重要になりますので、いろいろな角度から業務を見て、効率的に仕事をすることが大事だと思います。」
仕事と家庭の両立推進にむけて、特に大変だと感じることは、社員一人ひとりへのアプローチだという。社員のほとんどが技術職、工事部門のため、早朝から夕方遅くまで現場中心の作業になり、仕事と家庭の両立について考える時間を取ることが難しいことも多い。そのため、会社側からの呼びかけの意図がうまく社員に伝わらないことがあったり、新たな制度を導入する時に、社員の意見や考えをうまく引き出せないこともあるという。
「会社も社員も良い方向に向かうためには、社員同士が良い関係(チームワーク)にあることが重要だと思います。総務部は、いろいろな部署と関わる部署なので、今後も部門間のコミュニケーションを大切にしながら、社員同士が協力し合える環境づくりを心がけていきます。」