H26「労働やまがた12月号」今月のひと

マザーズジョブサポート山形
マザーズコンシェルジュ
須摩 幸江さん

女性の就労を応援するため、県と労働局が連携してサービスを提供するワンストップ就労支援施設「マザーズジョブサポート山形」を9月22日に山形テルサ内に開設しました。マザーズジョブサポート山形は「マザーズコーナー」と「マザーズコンシェルジュコーナー」の2つからなっており、県では「マザーズコンシェルジュコーナー」を運営しています。この度は、子育てや就職等で悩んでいる女性の手助けとなるマザーズコンシェルジュとしてご活躍されている須摩幸江さんにお話を伺いました。
【お仕事内容について】

マザーズジョブサポート山形の事業内容を教えて下さい。

  マザーズジョブサポート山形は「マザーズコーナー(国:ハローワーク)」と「マザーズコンシェルジュコーナー(山形県)」の2つからなっています。以前からハローワークでは、子育てしながら就職を希望する人に対して求人情報などを提供するマザーズコーナーを設置していました。しかし、ママたちからは、お子さんの預け先を始め、仕事に就くまでの不安なことについて相談するところも欲しいという声がありました。そのような経緯から、仕事をする一歩手前の方、そろそろ子育てが一段落するので再就職を考え始めたという方などから、色々お話を伺うマザーズコンシェルジュコーナーを設置しました。このマザーズコーナー、マザーズコンシェルジュコーナーをワンストップで利用でき、ママが仕事に向かうために必要な情報提供をさせていただく総合相談窓口がマザーズジョブサポート山形です。
 また、お子さんをお預かりできる施設として「保育ルーム にこにこ」を設置し、お子さんと一緒に来られても、しっかりママのお話を聞くことができる体制を整えました。お子さんが隣にいると、どうしても話の腰が折れてしまい話しに集中できず、パソコン検索も難しい時があります。勉強したいけれどもお子さんをなかなか預かってもらえない、近くに手助けしてくれる両親がいない、でもセミナーを受けたいという時もご利用いただけます。面接の時など預け先がなく困っているという声も多かったので、面接の時にもお子さんをお預かりできる施設にしました。

須摩さんはどのような業務をされていますか。

  私はマザーズコンシェルジュコーナーで、ホテルのコンシェルジュと同じで総合案内係、世話係といったようなことを行っています。主に、ママたちが知りたがっている情報を提供し、必要であれば色々な関係機関と連携させていただき、様々な不安を取り除くサポートをする役割を担っています。
 なお、求職活動に特化して相談される場合は、マザーズコーナーをご利用ください。書類の作り方や面接の受け方、また、ご自分で検索されたお仕事の内容について企業さんとのやり取りをしていただけます。

マザーズコンシェルジュコーナーはNPO法人やまがた育児サークルランドで委託を受けておりますが、そちらではどのような活動をされていますか。

  私どもの団体、NPO法人やまがた育児サークルランドは、七日町のナナビーンズに「子育てランド あ?べ」という親子広場を開設しており、それ以外にも地域の公民館と連携した家庭教育事業や育児サークルさんの手助け、ボランティアさんによる先輩ママの家庭訪問などをしています。ママたちが1人で悩まないこと、ママ同士の繋がりを持てるような場や活動する場を提供したり、学びの場として講座を開催するという事業を主に行っています。
 その中で、仕事をするにあたっての不安など、ご相談を受けることが多々あり、なんとかしなければという思いを持っていました。保育ルームも、元々「子育てランド あ?べ」で託児室を併設しておりましたし、マザーズコンシェルジュコーナーにおいて私たちの今までの経験を活かすことができればと考えております。

マザーズジョブサポート山形の「保育ルーム にこにこ」について教えてください。

  通常、火曜日、水曜日、木曜日の9時半から16時までをオープンさせていただいています(※要予約)。保育士の資格を持っている者と保育補助という形で保育経験のある者の2名体制です。元々私どもの団体の託児室で経験を多く積んでいるスタッフが担当しています。

【保育ルーム にこにこ】
【保育ルーム にこにこ】内部 定員6名
【授乳コーナー】
【キッズルーム】
須摩さんは相談業務を担当されていますが、具体的には、どのような相談が多いですか。

  一番多い相談は、働き始めた際のお子さんの預け先についてです。実際のところ、仕事を探すのが先か、保育園を探すのが先かというジレンマで悩まれています。それから、保育園と幼稚園の違いや保育ママについて教えて欲しいという内容です。直接ご自分で見学に行って確かめるというのはハードルが高いことです。他には、再就職や転職を希望されている方からの相談もあります。
 仕事と子育てや家庭との両立については、なかなかご主人の手助けが得られないとか、今までは育児と家事だけで良かったものに仕事をプラスして本当に自分はやっていけるのだろうかという不安を抱え、皆さん悩んでいらっしゃいます。
 私の仕事は、お話をまずお聞きし、内容をトータル的に見て、必要であろう情報を提供することです。ママの気持ちを「こんな感じかな。」と汲み取ってアドバイスをさせていただくという、傾聴の部分が一番大きいと思います。

アドバイスされた後、ママたちに変化などは見られますか。

  変わったというよりは、「お話しを聞いてもらえて良かったです。」とか、「色々な情報がもらえて良かったです。」というお声をいただきます。
 ご自分だけでは知り得なかった情報、例えば、保育や介護、看護などの仕事については、ハローワーク以外の看護協会や福祉人材センターなど関係機関の活動内容について説明して、専門的な分野にお取り次ぎしていますので、そういう声をいただけるのだと思います。
 また、母子寡婦福祉連合会、福祉人材センター、看護協会の方に月に1回巡回していただいています。新しく併設しましたセミナー室で個別相談という形で、ハローワークさんだけでは知り得ない専門職の方に向けてのお話をしていただけますので、保育や介護、看護の仕事を目指していらっしゃる方へは、「巡回日に合わせて来てみてはどうですか。」という話をします。
 先日、看護を目指している方からご予約をいただきましたが、仕事と家庭の両立といった共通の相談のほか、やはり看護は専門分野ですので、専門家の方に聞いた方がいいと思います。

相談に来られる方が多い時間帯はありますか。

  午前中が多いですね。小さいお子さんをお持ちの方は、午後のお昼寝の前に来られる方が多いようです。9時半の窓口開始時間から、皆さんコンスタントにいらっしゃいます。お一人お一人にきっちり向き合って対応させていただきますし、5分、10分で終わる作業ではありませんから、どうしても午前中は少しお待ちいただく場合があります。
 逆に午後2時ぐらいからのお昼寝の時間にママたちは家事などをされるので、少し相談は減ります。夕方は、転職希望の方が仕事を終えてから検索に来られますので、またちょっと忙しくなります。

【相談ブース】
今まで(10月17日現在)で、どのぐらいの人が相談に来られていますか。

  実際に相談窓口を利用された方は116名で、お子さんも入れますと230名の方に利用していただいています。付き添いとして、ご主人やおばあちゃんと一緒に来られる場合がありますが、付き添いの方についてはカウントしていません。

付き添いの方もいらっしゃるんですね。

  ママ1人で、例えばまだ0~3歳のお子さんを連れていらっしゃるのは大変なんですよ。ですから、おばあちゃんと一緒にとか、ご主人がお休みの日に一緒に来られる方もいらっしゃいます。

色んな方がいらっしゃいますね。

  独身の方も、ご家族皆さまでいらっしゃる方も、本当に色んな方がいらっしゃいます。山形市内の方はもちろん、山形市外の上山、天童、河北、東根、寒河江の方も多く利用されています。

相談に来られた方たちはマザーズジョブサポート山形の情報をどこで得られているのでしょうか。

  主にハローワークからの情報やHP、チラシ等ですが、今回、新聞やテレビで大きく報道されましたので、そこで情報を得て来られた方が多いです。

京都府や群馬県などでも女性を対象としている同様の事業があるようですが。

  私たちもこの事業が始まる前に、京都や群馬に見学に行きたいと思っていたのですが、まだ叶っていない状態です。機会があれば他県の状況を見て勉強し、良い取り組みはこちらの事業に活かしていきたいと思っています。

まだアップはされていませんが、マザーズジョブポート山形のホームページで「私にもできる!?仕事も家庭も大切に?」というのがありました。

  掲載についてはまだ準備中ですが、まず、ママたちに自分自身を大切にしてもらいたい、自分の時間を持ちながら家事も育児も仕事も楽しんで欲しいという思いから、このコンテンツを作りました。仕事を始めても、今まで通り家事についても完璧を求められたら、ママだけが大変なことになってしまって、最終的には「働かない方が良かったんじゃないか。」という気持ちになりかねません。そうならないようなアイデアを載せたいと考えています。

【お仕事中の須摩さん】
どのような内容となるのでしょうか。

  相談内容として多いものをこちらでまとめて紹介したいと思っています。
 仕事と家庭・子育てを両立するのに不安に思っている事の中でも、ご主人の手助けが得られないということを挙げる方も多いですよ。ご主人にやって欲しいという度合いは、その人やその家庭でも違いますし、ママの時間の配分の取り方も、お子さんの性格やママの生活リズム、仕事の形態によっても全く変わってきますので、色んな工夫の仕方があることを掲載して、ママが仕事をするにあたってのヒントになればと思っています。

【須摩さんご自身について】

今のお仕事に就いたきっかけを教えて下さい。

  「こういうお仕事もあるのでやってみませんか。」と声をかけていただいたのがきっかけです。今とは違う職種ですが、以前からずっと働いてきましたし、主人も私が仕事をすることに賛成してくれています。仕事の内容はどうあれ、まず仕事をしたいと思っていましたし、出来ればやりがいのある仕事に就きたいと思っていました。自分の今までのスキルを活かして働きたいし、もしスキルがなければ、今就いた仕事に対して何が足りないのかというのを自分自身で学びながら会社に貢献できるような仕事がしたいなと思ってきました。
 昨年は、講座の企画・運営するという業務を担当させていただいたのですが、今年のこのマザーズコンシェルジュとして働くことに活かされていますし、今まで体験した仕事も、今の業務に活かされていると思います。

日々、やりがいを感じていらっしゃるんですね。

  時間にも追われ大変ではありますが、やりがいはあります。
皆さんそれぞれ、お仕事に就かれる事情が違うので、その方に合ったアドバイスを心掛けています。純粋に仕事がしたい方もいれば、金銭的なことや生活のために、子どものためにという方もいらっしゃいます。皆さん色んな事情がありますので、「無理せず、ご自分に合った仕事を選ばれた方がいいですよ。」とアドバイスしています。
 「やりがいがあるから、子どもを預けてフルタイムで働きます。」と言っても、頑張り過ぎて具合が悪くなってお休みすることになると、家族全員に大きな影響が出てしまうこともあります。

【インタビュー中の須摩さん】
働きたいと考えている女性に、また、ここに来ることさえも悩んでいる方にメッセージをお願いします。

  ここに来られる方は、一歩踏み出した方です。さらに一歩踏み出した方がナビを検索したり、ハローワークでお話しをされたりしています。
 その一歩の後押しを私たちがさせていただきたいと思っています。最終的には就職に向かって行動するということですが、私たちの窓口は、「仕事のことだけでなく、どんなことでも構いません。気軽にお話しに来てみませんか。」というスタンスにしています。
 誰かに話をしたい、相談したいと思っている時に、「ここがありますよ。」という場にしたいと思っています。お友達感覚と言いますか、リラックスして相談していただけるような空間でお迎えしたいなと思っています。
 カウンターで面と向かってお話しするのは、結構緊張しますよね。私たちは、横に並んでお話しをしたり、お子さんがぐずっている時は保育ルームの中でお話しをさせていただいたり、その時と場合に応じた相談スタイルを取らせていただいています。

では最後に、今後の目標を教えて下さい。

  聞かれた時にすぐお答えできるように、日々勉強していかなければならないと思っています。せっかく出来た窓口ですから、「あの窓口なら、もう行かなくていい。」ということにならないように、今後ここをママたちが来て良かったなという場所にしていかなければいけないと思っています。
 私たちだけではなかなか解決できない問題もありますので、各関係機関やハローワークとも、お互いに情報交換や勉強をしながら連携し、ママの就職に向かって手助けしていきたいです。

 
2014年12月1日